奥秩父両神山

―― 天候に恵まれた楽しい1日 齋藤 修

1997年11月18日


平成9年11月18日(火)
 天候と時間を考えて山行を考える。特に一緒に行く相手もいないので気軽にケースバイケー
  スで対応する。昨日は、前線の通過でめずらしく荒天となった。そうなると今日は回復
  する。私の予想が的中し非常によい天候である。これを逃すのも野暮である。早速ザッ
  クを準備し、出発となる。
 自宅を6時過ぎにでて、一般道を長瀞・吉田・小鹿野を経由して、両神村へ向かう。
  ここは去年「四阿屋山」に家族で登って承知している。両神村ふれあいセンターのトイ
  レを借用し準備を整える。これより、林道を白井差へ向かう。私は、静かな渓谷美を
  期待していたが、石灰石の採掘所が数カ所有り、最初は期待はずれであった。しかし、
  高度を稼ぐと寂れた光景になり、丁度終わりかけた紅葉が美しい。流れる水も美しく
  気持ちよくなる。こんな道に、バスが走っているのかと思いながらさらにすすむ。途
  中、村営のキャンプ場を2カ所・民営のを1カ所確認しながら進む。川沿いにバンガロ
  ーが建てられているが、のびのびとした雰囲気がない。バスの停留所と民宿があると
  ころが「白井差口」である。2時間置き程度に村営バスがここまで入ってきている。
 このあたりから車も入らないのだろう、道には落ち葉が敷きつめられている。道幅も
  狭くなるが、まだ高度を稼げる。途中道ばたに1日1,000円(無断駐車1万円)の標示
  がある粗末な駐車場がある。どこにもこの手のものはあるが、ここは清滝山荘を管理
  している者がやっているというのだからあきれてしまう。程なく車止めがあり、沢沿
  いに白井差小屋(これも清滝小屋の経営のようだが、10畳ほどの粗末なバラック、と
  ても泊まる気にはならない)が建っている。ここでも、自宅の庭を改造して駐車場にし
  ている。まして、その他の路上に至る所に駐車禁止の看板、あきれてしまう。当然逆
  らって邪魔にならないように路肩に停める。

 しかしながら、いままでの気分を一掃するように、登山路は快適である。最初は沢沿
  いにきれいな流れと共に登り、蛇行しながら高度を稼ぐ。その後、沢を渡ると三笠山
  側の山肌を歩く。比較的歩きやすい道で、気持ちがよい。昨日の雨でほとんど落葉し
  たらしく、落ち葉の絨毯が敷きつめられている。40分程で「一位ガタワ」と名付けられ
  た乗越しにつく。仏像や小さな祠があり、なにやらいわくがあるのだろうが、分から
  ない。清滝小屋も興味があるが、頂上への道を選ぶ。すぐに鎖場がある。使うほどの
  ところではない。しだいに、岩が多くなり岩場を登るようになる。しかし、鎖やロー
  プ案内が適度に有り、家族連れでも十分楽しめそうだ。15分程度登ると左に「のぞき」
  という標識があるが、あまり興味がないので進む(高度感のある展望があり、昔は修行
  の場でもあったらしい)。
 少し行くと、両神神社の社がある。せっかく来たのだから一応お参りして進む。ここ
  から、ピークごとに仏像や祠がある。なだらかな稜線歩きを楽しみながら、両神山の
  頂上をめざす。道の真ん中に休憩所がありその中を通ると、両神山の岩稜が間近とな
  る。案内板なども設置されており、確認できる。少し降りてから、最後の登りとなる。
  姿ほどきつくなく、15分ほどで着ける。
 期待していた以上に展望が得られる。昨日の雨で一掃された雲が、青空をよび前面の
  展望である。何より感激したのは、たぶん笠取山の稜線から浮き出ている富士山の姿
  である。頂上でこのすばらしい眺めをつまみにビールを飲む。今日は、奥様がビール
  用のつまみを用意してくれ(天候が悪化しなければ良いが)さらに満足。山頂は、岩で
  てきており、最も高いところに腰を据え首を回しながら眺めを楽しむ。遠くは、アル
  プス・御岳・浅間山・榛名・筑波まではっきりと見えるのがうれしい。方位盤もある
  ので展望を確認できやすい。東岳・西岳のある八丁峠からの岩稜は、なかなかゴツゴ
  ツしていて興味がある。是非機会を設けてトライしたい。
 30分もするとさすがに、冷えてきたので下山する。同じ道はいやなので、梵天尾根を
  下る。案内には、荒れているという表記のものもあったが、最近整備されたのであろ
  う標識もあり、なかなか快適である。最初は一気に下るが、ミヨシ岩への登りは一汗
  かかせられる。こんな稜線にと思うほどしっかりとした岩でできており、西側の眺め
  はすばらしい。ヤシオツツジの紅葉が残っており美しいところである。ここからは、
  下りとなり、大峠へ向かう。所々両神山の上部が見え確認できる。この山域は、植林
  が無くここまで自然林の中を快適に歩いている。
 大峠には、ベンチと案内板があり、迷うことはない。登り口の白井差へは沢沿いの道
  になる。とは言っても、なかなか歩きやすく整備されている。落ち葉の蓄積が深く程
  良いクッションになっている。少し行くと水もわき出ており、おいしそうである(あ
  との楽しみの為水は我慢する)。下りの道を曲がり、植林された山に移されると樹林
  帯の下降になる。しばらくすると、白井差の建物が下の方に見えるようになり、山肌
  を巻くような道になる。ほどなく白井差に着く。

 ここは余り良い印象がない上、なにやらいやな予感がする。急いで身支度を整え車に
  乗り込み下る。案の定、エンジンをかけると民家から親父が出てきて何か吠えている。
  当然、無視して下る。追ってこないようなので今日の行程は終わりとなる。
 天候に恵まれ、またもや楽しい1日を過ごさせてもらった。

自宅6:10−8:45白井差9:00−9:35一位ガタワ9:40−両神山神社10:00
−10:30両神山山頂10:50−ミヨシ岩11:15−大峠11:30−白井差12:00-自宅14:30

次の作品へ ↓
目次へ ↑


inserted by FC2 system