燧ヶ岳滑降 ―― 絶好の山スキー日より 鈴木善三

96年6月7日〜8日


メンバー    大森、中村、亀村、鈴木
 橋元さんが参加できなかった。
  東川口駅PM7:00集合の予定が中村さんの仕事の都合でPM8:00になり、8:20頃出発。
  御池まで行ってテントを張るつもりだったが、上は寒いだろうとキリンテまで戻って
  テントを張るPM11:10頃着。テントを張り始めると雨がぱらぱらときた。
 大森さんが準備してくれたつまみで飲んでいる間ずっと降っていた。明日は雨かと心
  配する、そのときは温泉にでも入って帰ることにするかなどと話し12:30頃寝る。
 あさ6:00に起きる。曇ってはいるけれど雨は降っていない、心配した程でもなさそう
  だ。朝食を済ませて出発。
 七入から上は一面の残雪、そしてその上には、ぶなの木とか栃の木などの木々が一斉
  に芽吹いて若葉による緑の雲海である。それを木々の間から眺める世界は、白と緑の
  間に吸い込まれそうな、あるいは溶け込んでしまいそうな気がするほどの感動である。
  僕の知っている雪の世界は、木々は、葉を付けないでいる一面の白い世界。そして、
  緑もシラビソとか栂などの仲間の木による、見慣れた雪山の世界(これも白と緑によ
  る素晴しい世界)しか頭にない。そんな僕には、この白いジュウタンの上に緑の雲海
  が折り重なった、この景色は新しい発見であり素晴しい世界である。
 御池に着いてみると駐車場はほぼ満杯、大森さんは心配していたけれど自分はこんな
  に沢山の人が入っているとは思わなかった。
 板を持ったパーティが何組か居る、彼等が行くのを待って8:00(実際は7:55)出発。
  8:35広沢田代に着く。あの広い雪原の真ん真ん中で休憩、これまた気分爽快。
 広沢田代からは、他のパーティは右のほうを登って行くが、我々は左から廻って行く
  ことにする。熊沢田代の手前でブッシュに遮られてしまった。10m程下らなければい
  けない。ルート失敗かと思ったが熊沢田代は少し下がったところにあった。熊沢田代
  は木道が100m程現われ、二三のパーティが休んでいた。此処まで来ると、休んでいる
  パーティ、稜線を登っているパーティなど、何組かのパーティが見える。
 熊沢田代からも、他のパーティは右の方に登ってから左にトラバースぎみに登っている。
  我々は、またも真直ぐ行ってから、稜線(?小さな?)に沿って右にまっすぐ登れば近
  いと判断(僕の独断?)して行く。ところが、このわからないような小さな稜線に出た
  ところで、右に真直ぐ行けばよかったのだが、3〜4m下がってその先を右に行くことに
  してしまった。此処がちょっと失敗だった。他のパーティのルートに合流する手前で休
  憩、亀ちゃんが此処でバテた。僕もどうしてか歩くペースがつかめない、呼吸に合わせ
  た足運びができないのだ。足が勝手に進むのだがその分息切れが早く来る気がする。申
  しわけないが大森さんの後ろを歩かせてもらう。此処からは中村さんがトップをいく。
  やっとペースがつかめてきた頃頂上直下に到着12:00(実際はもっと早い、中村さんは
  11:30に着いたと言っていた)。
 頂上からみる尾瀬沼は、まだ一面氷に覆われている、尾瀬ヶ原もまだ3分の2位は氷の下
  のようだ。会津駒の遠方には二つの高い山が見える、はたして飯豊の山か(?)そして
  その左の遠くにも山波が見えるが何の山かは解らない。曇り空ながら青空もところどこ
  ろに見え、山スキーには絶好の日和かもしれないと誰か言っていた。
 ビール3本(500ccだぞ)とワインそれに大森さんの用意してきたつまみで例のごとく乾
  杯、そして大休憩。
 さて、いよいよ滑降。13:00(?)まず中村さんが飛び出した、見ているとちょっと方
  向が違う、もっと左方向へ行かなくてはいけない。このままでは登り返さなくてはなら
  ない、心配になり大声を上げるがもう声の届く距離ではない。
 ええいまま世と、各々みんな熊沢田代に向かって滑り出す。中村さんもブッシュのとこ
  ろから左にまがって、みんな合流できた。さすがあ…中村さん。
 そこからは、今度は左に目一杯廻ってから右に滑って熊沢田代に出る。だれか時計を見
  て、この間15分だと言っていた。
 う..1:30分もかかって登ったのに....

 熊沢田代から木道を歩いて、そして少し登り返して広沢田代へと滑り込む。この広い田
  代は、もしガスでも出たならば、ルートファインディングに苦労するだろうなと思う。
  のんびりと田代を横切り、いよいよ最後の滑り。所どころ狭いところもあるが、それぞ
  れ思い思いに滑り下りる。御池も近くなってくると雪面のギャップが大きくなって滑り
  ずらい。
 御池駐車場に飛び出す。今日のスキーもこれにて終了。荷物の整理をして、大森さんが
  2:30に着いたことにしようと言う。が..2:10分だったと思う、中村さんが上から1:
  15分だったとも言った。駐車場の車はいくらか少なくなっている。
 御池駐車場からは、また緑のトンネルを抜けて小豆沢温泉へ。小豆沢温泉は、改築され
  たばかりできれいな温泉となっている。一人850円でも許すと、誰か言っていた。
 温泉を出て、蕎麦屋を求めて二軒三軒、国道121号線に出たところでやっとありついた。
  ビールを飲んで、お酒を飲んで、お蕎麦を食べて、ああ..満足。
 ただ一人、お酒も飲めず、お蕎麦だけで、行きも帰りもハンドルを握りホントにご苦労
  さまでした。
 またおんぶにだっこの山行をさせてもらっちゃった。最後は家まで送ってもらい大変お
  世話になりました。
 大森さん有難うございました。

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