越後中岳

橋元武雄     '90/09/22〜09/24


09月22日 晴れ
十字峽基点、丹後山から中岳周回。
冨山、鈴木、高橋、中村。
8時南浦和集合。六日町で買物をし、ろくな店がないので駅前で弁当を買って車中で昼食。十字峽の駐車場に12時半頃到着。1時出発。丹後山避難小屋を目指したが、越後独特の一直線の急登が登れども登れども終わらない。しまいに尚やんがばてて(もっとも全員ばててはいたが)、ジャコの平でフォーストビバーク。避難小屋は天水がたよりというので、念のため善さんが、10gの水を背負っていたので宴会には支障なかった。冨山さんのツマミ、ぼくの野菜のクリームシチューとボイルドビーフ。今回の牛はとりわけ美味。ひとが来たら避けようもない細い山道を舞台に大宴会。登山道の脇に格好の寝場所が見つかる。気温も高く、まったく寒くない。50pほどに矮化したオオカメノキやミヤマナラの枝の張り出しを屋根にごろ寝をする。昼夜の気温差があまりなかったので、夜露はほとんど降らなかった。まったく天幕なしのビバークは、ぼくもはじめてで楽しかった。これも尚やんのおかげか。

09月23日 晴れ
7時にジャコ平を出発。雪深い越後の山らしい草原状の丹後山。避難小屋から10分ほど下ると水場のあることを確認。利根川の源流である大水上山に治水記念碑を見る。尚やんを池ノ段の分岐に残し、4人で1時15分頃に中岳山頂。濡れた新聞紙にく
るんで、苦労して冷やしながら担いてきた缶ビールで乾杯。午後は無風で高温。尚やんならずとも全員ばてぎみ。それでも、下りになると尚やんは強い。“鈴木さんがあおるから”とか“高橋さんが飛ばすから”などといいながら、せっせと下ってゆく。下山して振り返ると10時間に及ぶ行動、それに高温無風。疲れるのも無理はない。それにしても今回も、越後の国の山道の付けかたの能のなさに呆れる。とにかく真っ直ぐ登り、真っ直ぐ降りる。粘っこくて繰り返しを厭わない越後人が、なぜこうも向う見ずで直截な道の付けかたをするのか、理解できない。

車まで帰りついてはみたが、とりあえずビールと酒を沢水に冷やしただけで茫然。テントだけはどうにか張って、その前でごろごろしながら体力の回復を待つ。ビールが冷えたところで乾杯。かろうじて食事の支度をする。尚やん担当の豚汁。あまり食欲はなかったが、サトイモがうまい。9時頃就寝。

09月24日 晴れ
疲れすぎてあまり酒は飲んでいないので、気分良く目覚める。残ったビールを飲む。これがたまらなくうまい。冨山さんまで禁を破って“こりゃいかん、うますぎる”と賞味する。冨山さんとかぼくの胃には、空きっ腹のビールが一番悪い。朝食の食当はチャウ。古典的な明星のチャルメラ印インスタント塩ラーメン。そうこうするうち、まった
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く手付かずで残っていた1升がまたたくまに空いてしまった。さらにひと寝入りして、酔いをさまし、五十沢温泉で汗をながす。混浴だがゆったりと大きな風呂場に、露天風呂まで付いている。かすかな硫黄の香りがする湯も豊富。旅館の裏は一面の田圃で、いまは刈り入れどき。体を洗いながら 広々した景色を眺める。めずらしく風呂からすぐに上がる気にならなかった。

恒例の越後湯沢《新橋》で宴会。帰りは渋滞と一緒に走って、7時半頃南浦和で解散。
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