早池峰

高橋尚介     '85/07/26〜28


7月26日(金)
 蕨駅を定刻に全員集合。一路みちのく路へ出発。浦和I.C.から東北自動車道をひたすら北に進む。運転はオジさん、チャウ、大森さんが交代で当たる。後藤さんと小生は門外漢なので、うしろの席でビールをたしなむ。途中S.A.での昼めしをはさんで、長駆600キロ弱を6時間で駆け抜けたことになる。紫波I.C.で高速を降り、スーパーで買物をすませる等して午後4時頃岳の部落に入る。 岳のキャンプ場は設備も完備しており、なかなか快適そうな所だが、広場にキャンプ・ファイアの準備がしてある。そういえば岳部落の入口に日山協の早池峰登山競技大会歓迎幕が下がっていた。いまは静かだが、ここが大会会場になると大勢の人が集まって、折角の静かな雰囲気がメチャメチャになることがわかって、ひとつ上流のうすゆき山荘前のキャンプ場にいってみる。それらしきところが見つからず苦労したが、ようやくキャンプ場を発見した。駐車場と思っていたところがそこだった。車道に近すぎて不適であるとの結論に達し、岳のキャンプ場に引返すことにした。今日は金曜日なので、キャンプ・ファイアの心配はないだろうということになった。やはり静かな一夜を過ごすことができた。食当のチャウが腕をふるったてんぷらと素麺、それに紫波のスーパーで仕入れた刺身等が食卓に並び、豪華な夕食となった。チャウは食当の腕を信用していないとご立腹だったが、第1日の酒宴が更けていった。

7月27日(土)
 7時54分岳発河原ノ坊行バスに乗る予定だったが、オジさんのヤサイイタメとイカゲソ付け焼を平らげたり、キジ撃ち等でバスの時間に間に合わず、 結局車で河原ノ坊まで行くことになった。コースも大森さんがこだわっていた縦走もあきらめて、早池峰山を往復ということになった。車でバスを追いかけるかたちとなったが、バスが道を譲ってくれ、一足先に河原ノ坊に着く。 駐車場に車を置いて、開けた登山基地を後にする(8:25)。岳川の支流コメガモリ沢に沿って登る。やがて河原の岩石帯を詰める。ガイドブックによると、この岩石帯のことを石パネと呼ぶらしい。沢から離れるところ頭垢離からは、高山植物と岩場のミックスした急登が続く。「ゴザ走り」とか「打石」とかいった岩を巻きながら高度を稼いでいく。高山植物は、ハヤチネウスユキソウを始め、ミヤマアズマギク、ミヤマオダマキ、ミヤマアケボノソウ、ミヤマハンショウヅル、ヨツバシオガマ、等まだ沢山の花が咲いていたが、名前をオジさんから教わっても、次から次と出てくるため、頭の中を素通りしてしまう。大森さんは、高山植物にあきたのか、名前を覚えるのをあきらめたのか、適当な岩を選んでは、フリークライムを楽しんでいる。オジさんもその内に、花の説明に面倒になったのか、やはりフリークライムを始めた。河原ノ坊から約3時間で頂上に着く。(11:25)
 頂上は人が一杯。混雑した人ごみのなかで、団体が早池峰神社奥宮の前を占領
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している。このグループが例のキャンプファイヤの日山協の連中かと思っていると、地元の人らしいリーダーが「歌声グループはこちらに集合して、・・・」と叫んでいるではないか。???コーラスグループとハイキンググループとの合ハイだったかと勘違いしたが、しばらくして「小田越え」のこととわかって一同大笑い。人ごみを避けて、中岳寄りの頂上の一角の大岩の上に陣取って、ワインで祝杯をあげる。岩の陰には、ハヤチネウスユキソウ、ミヤマオダマキ、チングルマのひげがそこら中に咲いている。縦走路の方向は広々とした尾根がゆるやかに下り、その向こうに中岳、さらにその背後に鶏頭山が眺められる。縦走してもよかったなと思った。ユックリ昼寝をして、 1時30分重い腰をあげる。小田越えへ向かう。賽ノ河原、山頂湿原のお田植場と呼ばれるところを横切って、やがて岩っぽい急斜面を下りる。五合目あたりでは気持の良い草原状となり、休憩をタップリとっての下りは、オジさんの高山植物教室となるが、小田越え側は南面のためか、花が盛りをすぎ、また種類もあまり多くない。しかし、気分の良いところだ。約2時間で大鳥居のある峠の林道に飛び出す。林道を30分下って登山口の河原ノ坊に戻る。岩手県の調査員がアンケートに応えてくれというので、チャウが代表して応対。 予算の項で、2万円はしないという答は、後程ピタリ的中し、ヨミの深さを披露することとなった。ビールを岳の部落で仕入れて、岳のキャンプ場に戻ると、家族連れのパーティ10人程がキャ ンプに来ていた。
今夜の食当は小生だったが、オジさんが見かねてバトンタッチ。下の広場に車を止めてあったが、日山協のキャンプファイヤー係が車の移動を申入れてきたが、もうアルコールが回っており、飲酒運転はできないと断る。やがて、下の広場には三三五五人が集まって円陣を組んで各地区代表の演芸大会が始まる。東京代表がもっともお粗末だった。わが梓組も大森さんという歌の大家を中心に負けずに歌いまくった。やがて、下の宴会も終わり解散していった。わが梓組はさらに延々と続く。オジさん、チャウは早々にテントに入って寝てしまったが、大森さんの歌は「・・・とか、・・・とか」と果てしなく続いた。ようやく歌にあきて、大森さんと後藤さんが、昨日同様車のベッドに引き上げたのは、かなり夜が更けてからだった。

 翌28日(日)は帰るだけなので、のんびりした。途中、地ワインを買ったり、宮沢賢治記念館に立ち寄ったり、花巻温泉の奥にある大沢温泉で露天風呂(温度がぬるく、内風呂で体をあたためたが)に浸ったり、平泉の中尊寺を見学したりして、折角ここまで足をのばしてきたのだからと山行の余韻を満喫して、帰途についた。

行程 26日 蕨駅−浦和I.C.−紫波I.C.−岳(泊)
27日 岳−河原ノ坊−早池峰−小田越−河原ノ坊−岳(泊)
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28日 早池峰神社−宮沢賢治記念館−大沢温泉−花巻I.C.−平泉I.C.−中尊寺−
平泉I.C.−浦和I.C.−南浦和駅
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