朝日・雪倉・花の山

大森 武志    '02/08/01


2002年7月29〜30日
参加メンバー:大森(単独)

  雪倉から望む剣・立山
 7月27日に佐久で蕎麦の種まきをしたので、その足で念願の北アルプス北部を歩いてみようと思った。28日昼過ぎに佐 久を出発し、丸子町から三才山トンネルを通って松本へ。時間がたっぷりあるので大町の先の簗場に立ち寄り、昔(30年
-1-



ぐらい前)よく通った芸大山岳部の山小屋(今は鹿島槍スキー場の片隅)をのぞいてみる。誰も来ていなかったが、たたずまいは当時のまま。TBSBの組合仲間と遊びに来たことなどが、懐かしく思い出される。
 南小谷のコンビニで酒・食料を仕入れ、蓮華温泉駐車場到着17:30。車のシートをフラットにしてマットを敷き、独り宴会の準備にかかる。
 29日・晴れ。5:20駐車場を出発し、朝日岳をめざす。キャンプ場を過ぎると、道は一気に下り坂。兵馬の平(湿原)はシモツケソウとオオバギボウシが優勢で、見上げれば雪倉の堂々たる山容。再び樹林帯に入り、瀬戸川にかかる橋(コンクリート橋脚の立派な鉄橋だ)で下りは終わる。ここまで約1時間。
 やがて仮設の木橋で白高地沢を渡ると、五輪尾根の急登(カモシカ坂)にかかる。8:30花園三角点(1754m)。この湿地帯から主稜線の千代の吹上(2200m)までは、次々と花畑が連なる天上の楽園だ。高度を上げるにしたがって花の種類も少しずつ変化していき、片時もデジカメを手放せない。100回近く、シャッターを押してしまった。気になったのは、標高1900m付近のハクサンコザクラが異様に小さいこと。どれも、丈が10cmほどしかない。雪解けの時期と関係があるのだろうか。
 朝日岳(2418m)山頂には、誰もいない。「360度の大展望」も、ガスっていて何も見えない。風が冷たく寒いので、早々に小屋に向かうことにする。朝日小屋到着12:30。着いてみて驚いた。ウィークデーだというのに、布団1枚に2人とは! シュラフを持参し、雪倉避難小屋まで足を延ばすべきだった。
 悔やんでいても仕方ないので、とりあえず雪解け水にビールを突っ込む。それからが長かった。ワイン1本もいつの間にか底をつき、植物図鑑を片手に居眠りしながら夕食を待つ(どうせ今夜は眠れないんだから)。夕食後、外に出てみると、富山湾に落ちる夕日がすばらしい。雲は金色に染まり、真っ青な空に宵の明星。30年近く前、双六谷の帰りに泊まった薬師小屋で、石垣に腰掛けてながめた夕日を思い出す。19時すぎに朗報。「布団1枚に2人」令が解除された。客の到着具合をみていたらしい。

 30日・晴れ。4:30朝食の弁当をもらって出発。水平道を通り、雪倉に向かう。しかし水平道といっても小さなアップダウンの繰り返しで、そのうえ途中の2本の沢を横切るときには、いったん川底まで下って登り返さなければならない。雪倉を見上げる水場で朝食にする。ゆうべの飯(食前酒つき)も山小屋にしてはまあまあだったが、この弁当も悪く
-2-



はない。
 雪倉の登りで、待望のコマクサが姿を現した。しかし残念なことに、10日いや1週間、来るのが遅かったようだ。女王さまはすでに老境にさしかかっておいでで、どの花も肌の衰えを隠せない。いろいろ探してみたが、娘盛りには出会えなかった。三国境の群落に望みをつなぎ、先を急ぐ。  雪倉山頂8:15。妙高、高妻、戸隠、小蓮華、白馬……振り返れ
ば、剣・立山連峰がくっきりと見渡せる。下り30分で雪倉避難小屋。10人以上は泊まれそうな立派な小屋で、この時期ならすぐ近くに雪田が残っていて水の心配もない。
 三国境のコマクサも、すでに盛りを過ぎていた。しかも、ここは厳重にロープが張り巡らされ、道端の株にしか近づくことができない。今年はあきらめるしかあるまい。来年はぜひ、針の木雪渓をつ
-3-



めて蓮華岳の群落を見に行きたいものだ。白馬の頭には、濃いガスがかかっている。雲を見に行っても仕方ないので、小蓮華岳から白馬大池に向かうことにする。途中、登山道の真ん中で雷鳥が砂浴びをしていた。しばし見物。
 白馬から蓮華温泉への道は、かつてTBSB山の会で来たコース。川田、佐藤茂、桜井、前田……それから誰がいたかなあ。独りで歩いていると、妙に昔のことを思い出す。蓮華温泉到着14:40。半そでシャツに短パンだったので日焼けがひどく、せっかくの温泉に浸かれない。ぬるま湯のシャワーで汗を流す。

●デジカメの写真を図鑑と照合したりしながら、今回出会った花の名前を、覚え
ているかぎり列挙してみた。
シモツケソウ、オオバギボウシ、ヒオウギアヤメ、ミネウスユキソウ、タカネヤハズハハコ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマアズマギク、ウサギギク、クロトウヒレン、クモマニガナ、シロバナクモマニガナ、ミヤマタンポポ、イワギキョウ、チシマギキョウ、ハクサンシャジン、タカネマツムシソウ、ムシトリスミレ、ウルップソウ、ミヤマコゴメグサ、ヨツバシオガマ、タカネシオガマ、タテヤマウツボグサ、ミヤマムラサキ、イワイチョウ、ミヤマリンドウ、タテヤマリンドウ、ハクサンコザクラ、ミヤマホツツジ、イソツツジ、ハクサンシャクナゲ、ツガザクラ、アオノツガザクラ、イワヒゲ、アカモノ、イワウメ、コイワカガミ、ゴゼンタチバナ、シラネニンジン、シナノオトギリ、ハクサンフウロ、イワオウギ、ミヤマダイコンソウ、チングルマ、クガイソウ、カライトソウ、タカネバラ、ミヤマダイモンジソウ、クモマグサ、イワベンケイ、コマクサ、ミヤマハンショウヅル、ハクサンイチゲ、タカネ(ミヤマ?)キンポウゲ、モミジカラマツ、シナノキンバイ、イワツメクサ、タカネナデシコ、ムカゴトラノオ、ハクサンチドリ、コバイケイソウ、シロウマアサツキ、ワタスゲ、ニッコウキスゲ、ミヤマクロユリ、クルマユリ、オオバタケシマラン、キヌガサソウ、その他アザミ類・セリ科の植物
-4-




 ムシトリスミレ

 タテヤマウツボグサ
オマケの雨飾山
 日程が一日余った。地図を広げてみると、隅っこに雨飾山がある。南小谷まで下りて酒・食料を仕入れ、登山口に向かう。以下、気づいたことをいくつか。

@登山口はキャンプ場になっていて駐車場もあるが、歩いて3分ほど手前に「登山者専用駐車場」がある。ここなら幕営もでき、登山ベースとして格好。

A「すね毛事件」の現場がどこだったのか判然としないが、アプローチの水路を泳ぐ岩魚の姿も、ブナの巨木も健在。

B標高1850mあたりまでは地獄の急登が続くが、それから上は草原となり、花咲き乱れる楽園の風情。

C岩菅沢源頭の大岸壁。この前きたときも登ってみたいと思ったが、ルートはあるのだろうか。
D9時半ごろ、ほとんど下りきったところで高校生の一団とすれ違った。装備もいい加減で、これから登るのでは炎天下でかなりの苦痛を強いられる。きっとみんな、山嫌いになるんだろうな。引率のばか教師に腹が立つ。

Eちなみに小生の行動時間は、駐車場4:30→山頂7:15→駐車場9:50でした
-5-

ホームへ ↑

inserted by FC2 system