鼻曲山 霧の中の登山(霧積の名に恥じぬ旅)

後 藤 文 明     '01/04/11



東京ロイヤルホテルの42階にある超デラックスレストランに若い黒人の刺殺体が転がり込んだ。
名はジョニー・ヘイワード。彼をホテルまで乗せたタクシー運転手が、彼の「ストウハ」という謎の言葉を覚えていた。彼は麦わら帽子と、西条八十の詩集を携えていた。一方、捜査本部の棟据刑事は、ホテルの近くの公園で“古い麦わら帽子”を見つける…。はたして犯人の手掛かりとなるのか!?
“人間であること”の意味を問う、感動の長編推理。
そして、ラストで何故ジョニーが来日したのか? その理由がすべて明らかになる。ジョニーは、進駐軍の黒人兵士と日本人との間に生まれた子供で、幼い頃、父親に連れられてアメリカに帰国したのだった。
そして、日本人の母親を探しに、東京にやってきて、殺されてしまったのだ。
それも、実の母親に……。

鼻曲山麓、霧積温泉の霧積館での話題。大森さんの言う「もうストウハは、見つからないかも・・・」については、橋元さんだけが森村誠一の「人間の証明」と角川映画の薬師丸ひろ子について語った。
キャッチフレーズも「読んでから観るか、観てから読むか」とあったくらいだから、読むか観るかしたの?と問えど「まったく知らない」と言う。
もう一人が小説は読んだというが、物語の筋も「ストウハ」も「ボクの帽子」も覚えていないので分からないと言う。
まあ、なんとも頼りない面々、西条八十も宿の前で由緒を書いたものを見て納得するほどであった。


4月7日(土)は雨、8日(日)は晴れの天気予報なので、田中リーダーは土曜日の昼発と計画した。当日は宴会だけで翌日は山頂からの浅間の雄大な景観を楽しもうと言うわけ。
ところが田中車が東京駅前を12時に、公用車が13時に南浦和を出る頃は快晴の空。結局翌日の登山は霧の中、頂上も霧の中、やっぱり霧積みは名の通りであった。
田中車は落ち合い場所の関越道嵐山PAには13時には到着、公用車に携帯電話で知らせるが、丁度南浦和を出るところであった。
田中車の冨山、中村、田中、後藤はPAでサンドイッチやオニギリを買い込み、いまや満開の桜の樹の下でビールをあけ花見と決め込んだ。が、電話連絡に齟齬があって公用車は嵐山PAを通り過ぎてしまい上里PAで落ち合うことになる一幕があった。 (便利になりすぎるのも安易に流れて間違いを犯すことになるのか)
霧積温泉は、横川から霧積川を遡り、最上流部の渓谷にある。長野と群馬の県境の山、鼻曲山の中腹にある。明治時代には、避暑地として作家や政治家が別荘を造って大変ににぎわったところだそうだが、大きな山崩れがあって
-1-



衰退し、現在はきりずみ館と金湯館の2軒だけになっている。
横川の先から旧道にはいり霧積ダム湖を右手に見ながら山間の道を進む。山ははまだまだ冬枯れのままである。午後4時まえ霧積館にはいる。
大きな二間つづきの部屋に通される。橋元さんががまったく山も知らない高校時代に、炎天下を教師に引率されて、横川の駅から霧積温泉まで歩いて相当苦しかった記憶があったので、宿に到着して主人に40年前に霧積に来たことを話すと、この宿(きりづみ館)ができたのは30年前だから、それはもう一軒の金湯館だろうとのことだった。
窓からはまだすこーし冷たいが気持ちのよい風が通っていた。庭には六角形の大きな風呂場が見えていたが、明治時代の古図にある六角という地名に基づき、この地にあったという共同浴場を再現したお風呂で建物も浴槽も六角形というわけ。
さっそくビールと群馬県の銘酒「福達磨」をあける、三々五々風呂に入ったりするうちに夕食となり、そこで冒頭の話題となったのだった。
翌朝は8時5分出発、霧積館から25分ほど上流の金湯館ちかくまで行き、
登山道に入る緩やかな道を2時間弱、何ということもない登山道でTさんとTさんが喧喧諤諤しても現在地が的確でないのでみな呆れ顔。霧積みのぞき(と言うほど大変な景色ではない)で小憩ののち残雪を踏みつつ進む。途中中学生の男子づれの父親と中年夫婦が途中から雪が多いため引き返してきたと言うのにすれ違う。
霧積峠の手前で急登になり、ぐっと積雪が多くなって急な斜面をちょつとトラバースすれば峠に着く。
すこし空が晴れ柔らかな日差しを見れば、冨山、橋元、後藤は早速腰をおろしビールをあける。あとの面々、鈴木、高橋、谷内、中村、田中は大天狗・小天狗といわれるピークを目指す。
20分も経って全員集結し賑やかな賑やかな昼飯となるが、今回は金谷さん贈呈になるワインを心置きなく賞味する。
やがて下山にかかるが空は結局晴れ上がらず、幻の浅間山であった。
午後3時霧積館到着、また六角風呂で汗を流して帰途に着く。途中とんかつ屋で腹ごしらえをして公用車、田中車はそれぞれ家路を急いだのであった。
-2-








2001.4.7/8 冨山、鈴木、高橋、
橋元、谷内、中村、田中、後藤
-3-
ホームへ ↑

inserted by FC2 system