足利の低山・最高の展望 大小山・妙義山

斎 藤 修     '00/12/27



 足利周辺には,展望が利く登りやすい低山が多い。名草方面を筆頭に,桐生側には「深高・石尊山」・「仙人が岳」などがあり,足利から佐野にかけては「石尊山(名草巨石群)」・「両崖山」・「大坊山」などがある。いずれもハイキング道として整備され,歩きやすくなっている。今回の大小山は,大坊山と峰が続いており合わせて登ることができる。足利近辺の山では,最も東に位置している。  低山でありながら展望がある。これは,関東平野を一望できる低山であろう。冬枯れの晴天の日には是非訪れてみたい。バスの便が少なく,駅から歩くか或いはタクシーに頼る以外にはない(登山口まで,タクシーで10分弱)。両毛線富田駅からは,さほどの距離ではない。歩いても30分程度であろう。ローカル線を1時間楽しんだ後,田舎道を歩くのも悪くはない。
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 富田駅から北側に歩き,日光三柱神社を目指す。このあたりから「大小山登山口」という素朴な標識を頼りに歩くことになる。次第に細くなっていく道を登っていけば,鳳仙寺がある。『薬草の湯』と看板がでている。しかし,日曜のみの営業らしい。奥を見ると小さな建物に,入り口の案内が付いている。少し登れば,阿夫利神社が出て来る。10数台の駐車スペースがある。トイレ・水場(水道水ではない)も整備されている。

 大小山は,山頂直下に『大小』と記された文字が張り付けられている(由来の程は解らない)。これを頼りに向かえば,到達する事ができる。山頂は,「妙義山」と「大小山」の双似峰になっている。周遊コースになっているが,大小山から登ってみることにする。すぐに『石尊の滝』と掲示されているものがある。木の幹を利用した人工的な
ものであるが,何かほっとさせてくれる感がある(木の幹をつなぎ彫り込んだ丁寧なものである)。

 すぐに,男坂・女坂の分岐になる。さほど違いはないようである。どちらを登っても一般道である。今回は,女坂を選択する。結構急な道が付けられている。樹林帯に着けられ蛇行しているが,勾配は急である。回り込むようになっているので,男坂よりはやや行程が長い。
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大小の文字が付けられている岩場の方に次第に導かれていく。男坂との合流を終えれば,すぐに東屋のある『天狗岩』のしたの広場に出ることができる。ここからの展望も見事である。関東平野はもとより,佐野郊外の「三毳山」を始め筑波山まで見渡せる。親子(父子)が休憩していた。

 左に回れば,鉄製の階段が付いている。それを上り再び回り込むように,山頂を目指す。稜線に出れば右に向かう。数分でピークに立てる。『大小山(286M)』と記載されている標識がある。やや木があるが,冬枯れの為展望は十分にある。以前は「鷹巣山」とも呼ばれていたらしい。低山ではあるが,両側が切り立っているため風が強い。やや雲が出始めているものの展望は良好である。このしたの岩場が『大小』の
看板があるところらしい。地元の標識が付けられており,確かにここが大小山になっている。鷹巣山・天狗岩の別名もあるらしい。

 北側に「妙義山(314M)」が確認できる。山頂に2等三角点がある頂きに出れば,そこが360度の展望を持つ「妙義山」山頂である。この高度でこの展望と思われるほど,眺めがよい。関東平野はもとより,東京の高層ビル群まで見える。秩父・奥武蔵の山々の奥に雪をいだいた「富士山」もある。荒船山の姿も確認できる。本家の妙義山も見える。やや雲に覆われているが,「赤城山」も間近に迫っている。袈裟丸山・皇海山・庚申山も美しい。北側は,雲に隠れながらも「日光連山」「尾瀬」の山々が雪をいだいている。風はあるものの時間を忘れさせてくれる程の展望がある。特に見応えのあるのは,南東北の山から流れる「古賀志山」から,「三毳山」の山々が見事である。その奥には,双似峰となっている「筑波山」がどっしりと位置している。

 パノラマ撮影に時間を費やしているうちに,やや風が弱くなってきた。諦めかけた昼食を取ることにする。ならばビールで乾杯。体は冷えているが,山頂でのビールは美味しい。持参したコンロでおでんを温める。腹に納まってくると落ち着く。ゆっくりとした気持ちで再び展望
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を確認できる。平日ではあるが,結構登ってくる人も多い。3・4人の人と言葉を交わす。直ぐ下に住んでいるという壮年の男性がいうには,大坊山まで腰床峠・ツツジ山を経て縦走ができるらしい。岩場有り,やせ尾根・鎖場有りのなかなか変化に富んだコースのようである。こうなれば,JR富田駅から足利駅までのコースが取れるようである。次回に計画したくなってくる。

 おでんの汁でうどんを温め,賞味する。結構美味しいものである。私の冬場の定番メニューも終わる。1時間ほどいたことになる。東尾根といわれる尾根を降りていけば,周遊コースを取ることができる。『石段状の岩場』というものがあるらしいが,一気に急な岩場の下降になる。途中で岩場(後から考えればここがそうかも知れない)を下降するルートと尾根伝いにロープを伝いながら降りるルートに別れる。下部には石の祠がある。直ぐに合流し,尾根道になる。以前は東方の尾根にも道が付いていたらしいが,今は立入禁止となっている。
 時おり右後方に大小山が確認できる。
低山ではあるが,なかなかの岩場であることが理解できる。前方が開けている場所があり,「三毳山(筑波山)」の展望台としては良い場所である。ここから右へ折れるように道がなっているので,おそらくこれが『大岩』と呼ばれているところに違いない。尾根道に分かれ,急な
下降続けていけば次第に樹林帯に入っていく。沢筋に出れば,行きに分岐になっていた三合目の標識に着くことができる。

 広い道をゆっくりと下っていけば,直ぐに阿夫利神社の社が見えてくる。ハイキング道として整備されているおかげで,歩きやすい道が多い。急げば,2時間程度で終わるコースであるが,ここは冬晴れの気持ちの良い日をねらい,3から4時間程度かけて堪能したい。駐車場から右手に『妙義山を経て大小山』の標識がある。どこにその道への分岐があったか,記憶がない。次回は,このルートからツツジ山・あわぎ山を経て山川長林寺へ向かう小縦走をしようと決め,家路を急ぐ。
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『薬草の湯』 鳳仙寺
日曜・祝日のみ営業と書いてある。看板が門の前に掲げてあるのみ。敷地内に小さな建物が建てられてあり,その入り口に風呂場の指示がある。この施設(外からの印象)で入浴料1000円はやや高い様な気がするが,@時間制限無しA「飲食物持ち込み自由」は非常にありがたい。混んでいなければ,下山後の時間を十分楽しめるはずである。
平成12年12月27日(水)
幸手10:25−館林−富田−11:35登山口(阿夫利神社)11:45−12:10大小山−12:30妙義 山13:30−大岩−13:50登山口14:00−富田−佐野−東洋大板倉−古河−15:00幸手
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