飯豊連峰縦走メモ

テント縦走は山の醍醐味

/山を楽しむ会の行事に参加して 大森 武志


2000年7月19日夜行→22日下山
メンバー:山楽の17名+大森
山を楽しむ会の行事に加えてもらい、飯豊連峰を縦走してきた。詳しい報告は山楽から
出ると思うので、ここでは簡単なメモのみ。

ニッコウキスゲ
●  夜行列車も様変わり
夜行列車で山へ行くのは、何年ぶりだろうか。すぐには思い出せない。新宿23時09分発
の快速「ムーンライトえちご」は、実に快適な列車だった。全車両座席指定で、テーブ
ル付きのリクライニングシート。おかげで下車駅の中条(5時48分)まで、ぐっすり眠
ることができた。快速だから、急行券も特急券もいらない。新潟方面の山、あるいは終
点の村上で乗り換えれば山形・秋田の山にも、利用可能だろう。

●  雪が多すぎて水がない
初日のコースには2個所の水場があるはずだったが、両方ともカラカラ。それどころか
下山者の話では、幕営地の頼母木小屋にも水はないという。炎天下の水不足で、ダウン
続出。最後尾の斎藤リーダーは2人分の荷物を背負い、ビールで水分を補給しながら数
時間登ったらしい。小屋番によれば、原因は残雪の多さ。取水用のドラム缶が雪に埋ま
ってしまい、いまだに水が引けないのだとか(途中の水場もこの方式らしい)。しかた
がないので、雪渓の下まで交代で水汲みに通う始末。事情はどこも同じで、ちゃんとし
た水場は梅花皮小屋だけだった。

水が足りない
●  雪が多くて百花繚乱
半面、多雪は花には幸いしたようだ。雪解けを待ちかねたように、稜線はいたるところ
花の回廊。チングルマの群落の傍らで気の早いマツムシソウが花をつけているといった
具合で、さまざまな花がいっせいに咲き競っている。なかでも、斜面を黄色く染めるほ
どのニッコウキスゲ、ほとんど白に近いチシマギキョウ、赤色の濃いハクサンフウロ、
固有種イイデリンドウ、それにヒメサユリやシラネアオイなど(名称はいずれも推定)
が印象的だった。

ヒメサユリ

白いチシマギキョウ?

イイデリンドウ?
●  梅花皮小屋は面目一新
思い出の梅花皮小屋は2年前に建て替えられ、立派な山小屋に生まれ変わっていた。の
ぞいて見たところ、板敷きの室内で火も使えるようになっており、それにトイレはなん
と水洗。これで7月中〜8月末の営業期間外は開放というのだから、もったいないよう
な話だ。石転び沢を登って、この小屋に泊まるのもいいかもしれない。

梅花皮小屋

●  山小屋では膝を抱えて寝る
ハイシーズンは、どこでも同じかもしれない。とはいえ飯豊の小屋はほとんどが避難小
屋でキャパが小さく、その混雑ぶりは唖然とするほどだった。2日目の幕営地・御西小
屋では予約以外は宿泊を断って(拒否して)おり、多くの登山者が軒下やテント場で野
宿を余儀なくされていた(仙丈藪沢小屋を思い出す)。また切合小屋では、定員の4倍
の400人を泊めたという。よくても1畳に4人?

●  メインルートは崩壊寸前
飯豊本山は信仰の山であり、会津側からいくつかの登山道が開かれている。いちばん登
られているのが川入から三国岳をめざすルートで、今回は下山に使ったのだが、これが
酷い。いたるところ雨水で身の丈ほどもえぐられ、申し訳程度につけられた側道も枝を
払っただけの代物で、木や笹の根に足をとられて実に歩きにくい。資金がないのか、や
る気がないのか……。

●テント縦走は山の醍醐味
テントのアクシデントにも、ふれておかねばなるまい。梓の8人用テントが、どうやっ
ても形にならない。悪戦苦闘の末の結論は、「本体とポールが違う」。事前の確認を怠
ったのが原因だが、2晩とも雨に降られずホッと胸をなでおろした次第。ともあれ、久
々のテント縦走は苦しくもあったが、それ以上のヨロコビを味わうことができた。全身
まるごと山に包み込まれるような充足感も、ひときわ大きかった。

哀れなテント
                                                                 記:大森

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