外秩父の山/官ノ倉山・石尊山 

−−浅間山から関東平野を一望 斎藤 修

Sun, 20 Feb 2000


平成12年2月19日(土) 晴れ時々曇り
単独行:齋藤修

 昨年末の鐘撞堂山に引き続きすばらしい低山を発見した。以前より,時間が限
られている場合にトライしようと思っていたが,今日は午前中しか天気が持ちそ
うもない。暖かい日差しの中を歩きたいという気持ちが強く,午前中に勝負をか
けてみた。

    石尊山から「赤城」「日光」連峰を眺める
 朝方あった雲も次第に切れ始め,予想どうり埼玉北部から群馬方面は晴天とな
ってきている。後は山の状況次第である。埼京線川越駅から東武東上線に乗り換
える。距離はあまりないが,目的の駅「東武竹沢駅」まで行く電車がない。森林
公園で後発の特急(料金は取らない)を待ち乗車する。このあたりまで来ると特急
も名ばかり,寄居まで行く各駅停車に変わりはない。

 東武竹沢駅は,田舎の寂しいところに建って居るが,建て替えたばかりのモダ
ンな駅舎になっている。乗降者がどれほど居るかわからないが,自動改札機が3
台も設置されている(私の乗車駅も3台)。トイレ,水道も完備しているので利用
しておきたい。ここからは,埼玉県小川町少年自然の家がある金勝山へ立ち寄る
こともできるが,たいした山ではないようなので割愛する。

 駅のホームをくぐるように反対側へ出る。すぐに由来が書いてある小さな祠が
建っている。駅を出れば静かな山里になる。おばあさんが可燃ゴミを路端で焼い
ている。(日本は都心部以外はダイオキシン問題は別物のようである,この後5
箇所ほど同様の光景を目にする。私の住む幸手市でも稲刈りの後のわら焼きが行
われており,市もなにも対応していない)八高線の踏切を渡る手前にモダンな酒
屋まで営業している。踏切を渡り,国道254号線を渡れば,川沿いに道が付い
ている。舗装された2車線ほどのみちがしばらく続く。道すがら竹に赤テープが
ついた物が頻繁に立っている。場合によっては,建物・塀・石垣にまで赤テープ
が無数についている。疑問を持ち訊ねると,「地勢調査(地図づくり)」のようで
ある。聞いたおばあさんが実に丁寧に説明してくれたので,5分ほどの休憩もと
れた。

 三光社という立派な神社を過ぎると次第に道が細くなる。その後,小川を渡る
ようになりやや傾斜が生じてくる。あずまやがあるところが天王沼である。ここ
にも記念碑(巨大な石碑)が立っている。僅かな間だったが公民館・橋などに石碑
が建っていた。このてが好きな土地柄かもしれない。瓦工場などもあるせいか,
塀を瓦でデザインしている雰囲気のある家も多い。調整池を兼ねている沼であろ
うが,管理が行き届いており自然な状態になっている。近くでは,下枝をはらう
作業をしている人もいた。

 沼を過ぎるあたりから,山道になる。先ほどの赤テープは,山道にも続いてい
る。植林帯に丁寧に管理された歩きやすい道が付けられている。下枝が刈られて
いるので,意外と鬱陶しさがない。高度と共に勾配も急になり,体が温まってく
る。どうにか天気は維持しているものの寒波が来ているので,気温は寒い。低山
だと馬鹿に出来ない登りが続く。一汗かくようになれば,「官ノ倉峠」である。
標識が付いている。まわりは休憩もできる様,数カ所にベンチもある。

 東武の『外秩父七峰』に指定されているせいか標識はあるが,不明瞭なものの
も多い。この峠もその1つである。官ノ倉山へは左に曲がり登らなければならな
いが,休憩のための広場で道がすぐには解らない。おまけに小川町駅の標識が道
沿いについている。私は直進してしまい,在家方面へしばらく降りてしまった。
200Mほど下ったあたりで不審に思い,地図で確認し峠まで戻っている。

    官ノ倉山から外秩父「笠ヶ岳・大霧山」等を望む
 進路を左(東)に取るようにベンチの間を抜ければ,踏み跡が見えてくる。植林
にピンクのテープが付けられているので,それを確認していけば大丈夫である。
すぐに急になり,岩稜帯になる。かなりの勾配を克服すると,山頂に立つことが
出来る。たいていの案内では「官ノ倉山は展望がない」となっているが,本日は
ある。どうやら地元が山頂から30M程を伐採してしまったようである。そのせい
で,ほぼ360度の展望が得られる。御荷鉾・赤城方面が枯れ枝越しになるが,
移動すればどうにか見ることが出来る。たぶん数カ月しか経っていないように思
える。切り倒した際のおがくずが真新しく,設置されたばかりの山頂の標識が初
々しい。ベンチも設置したようである。斜面にまで数カ所にある。展望を理由に
切り倒したのであろうが,何度か来ている人には違和感が生じるに違いない。立
派な自然破壊でもあるはずである。

 どうも落ち着かないので,「石尊山」に向かう。官ノ倉山は双似峰になってお
りほぼ同じ高さ(344M)である。近接しており,10分弱でつく。最も高いところに
は,標柱にボールペン書きで示されているだけである。少し下ると展望台ような
すばらしい場所があり,祠と目新しい標識(官ノ倉山と同じ物)が立っている。こ
こは見事な展望がある。笠ヶ岳から続く山並みを始め,頭を少し見せる浅間山。
浅間隠山から御荷鉾山越しの草津・谷川連峰。雪を抱いた赤城連峰・袈裟丸山か
ら日光連山が北の方に展開している。筑波山はややガスかかかって見にくいもの
の,関東平野が一望できる。遠くには東京(新宿・池袋)方面も確認できる。

 風も弱く日差しもあるので,ゆっくりすることに決め腰を据える。先ずは,赤
城・日光連山を相手に乾杯である。10時前の乾杯の儀である。持参した乾き物と
肉じゃがの缶詰も美味しい。一人ではあるが日溜まり山行を堪能できている。ま
して土曜だというのに山頂には誰もいない。展望・日射しは何よりの恩恵である。
自然石のベンチで1時間ほどのんびり過ごす。ブランチに用意したうどんを作り,
腹に詰め込ば出発である。

    石尊山山頂
 石尊山からは鎖場があるというので,どんなに急かと思っていると,つかまる
ほどのことはない斜面である。この程度なら梓の忘年山行にもうってつけである。
斜面も20分足らずで林道状の道になってしまう。核心部は,山頂付近だけのよう
である。バブル崩壊で中止になったゴルフ場の用地のため,登山道が迂回されて
いるが,歩きやすい道である。植林帯をのんびりと降りることが出来る。途中で
腕に腕章『地勢調査中』を付けた測量の人たちとすれ違う。なるほど丁寧な調査
をしているらしい。

 次第に開けてくる。ときおり石尊山を見ることが出来るが,明快な山容は確認
できない。この後は,要所要所に付けられた標識を頼りに小川町まで進めばよい。
古い標識が混在し居るので,『東武外秩父七峰』の新しいプレートを頼りにする
のが賢明である。しかし,一箇所だけ不明瞭な場所(木工工場を左折し,次の小さ
な橋を渡るところ)があるので,慎重に歩いた方がよい。このあたりは,東武が各
駅においてあるリーフレット『金勝山・官ノ倉山』を参照するのがよい。

    小川町山村から「石尊山」を望む
 季節柄,梅の花が咲き始めている。道沿いにも寺や神社があり,楽しませてく
る。桑畑の名残のような田畑もあり,のどかな歩きを楽しめる。国道(2車線の
舗装道)を渡ると木で出来た小さな標識があるので,民家の横を通る道を進む方
が駅に出やすい。多少の登りになるが汗をかくほどではない。大きな社「八幡神
社」を過ぎれば,参道づたいに小川町駅まで導かれる。付近には,造り酒屋や食
事の美味しい店などもあるので,電車の時間と相談しながら立ち寄っていきたい。

○造り酒屋「晴雲酒造」○
八幡神社を降りてきたところに,標識もある。水を飲めとの表示であるが,造り
酒屋としての見学も可能である。0493-72-0055。
○忠七めし○
そもそもはウナギ屋のようであるが,市街地に本店と支店を配している。駅前に
は支店があるが数分のところに本店があるので,『忠七めし』をためしてみたい。
月曜休み。0493-72-0038。

東鷲宮6:27−6:52大宮6:55−7:14川越7:18−(東武東上線)−森林公園
−8:20東武竹沢−天王沼8:50−官ノ倉峠−9:10官ノ倉山9:13−9:25石尊山10:20
−北向不動−八幡神社−11:18小川町駅11:27−11:55高麗川12:12−川越−大宮
−東鷲宮 

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