ミレニアム初山行 御正体山

−−山頂は絶好の宴会場 斎藤 修

Thu, 6 Jan 2000


 昨年の宴会で,急に決まった山行。年末年始どこに行かないのは芸がない,では日
帰りで,と言うことになった。特に熱心な田中さんと企画がまとまる。田中さんは,
八王子方面の住民。そうなれば,陣馬・道志方面が便利。雪もあり,富士山も見られ
るという条件で「御正体山」が急浮上してきた。

 車でないとこの山域は,なかなかアタックできない。田中さんが車を出してくれる。
聖跡桜ヶ丘で8時の待ち合わせ。鈴木さんと路上で,田中さんも無事に到着。身支度
を整え出発となる。中央道を大月から河口湖方面に向かう。突然河口湖インターで大
渋滞。理由は解らないが,降り口で混んでいる。我々は東富士五湖道路を山中湖方面
に行くため,実害無し。年末の暴走族取り締まりの余波か,パトカーが道を狭めるよ
うに止まっている。 朝日がまぶしい湖岸の道を平野方面へ向かう。田中さんはこの
あたり自動車で良く来るらしい。実に詳しい。豆腐料理店なども紹介してもらいなが
ら,湖岸北側の道を行く。バス道路になっていないので初めて通るが,なかなか快適。
地図見ても旭が丘を通るより,近い。湖畔では,富士を撮影する人・釣りをする人が
早朝より出でいる。

 平野から左折すれば,目的の山伏峠に出られる。以前は,ホテルが営業していたが,
しばらく前からその気配はない。トンネル手前に数台の駐車スペースがあるので利用
できる。登り口に「御正体山」の簡易な標識はあるが,登山口が見あたらない。地図
を見ると,稜線づたいには着いているが,明瞭な降り口が着いていない。道志方面は
切り立っているのでホテル方面にあるものと思い模索する。

 ホテル前に小さな社があり,そこから立派な道が登っている。しかし,標識はない。
安全登山の看板があるのでそれを確認として登り始める。先ほどから雲に覆われてい
た富士山が,次第に雲を祓い始めている。天候も穏やかで,上々。程なく稜線に出ら
れるので,後は北上していけばよい。雪を期待して私は登山靴で来たが,その必要は
なかったようである。北斜面に残っているものの登山道にはほとんど着いていない。

 数回のアップダウンを繰り返しながら高度を稼ぐと,石割山との分岐に出る。時々
木々の間から富士の雄姿が拝めるが,気持ちの良い眺めは与えてくれない。少し登っ
た奥の岳(1371M標識・展望なし)で休憩を取る。何せ今回の3名現在の梓では,先鋭
部隊。快適に歩く。互いに牽制しながらまだ頑張られるメンバー。足取りが速い。私
が先導するもののなかかのペース。ここまでコースタイムの半分で来ている。
 
 高架線の下に木々が切り払われた箇所があり,見事な眺めを提供してくれる。実は
ここしか富士の勇姿を見せてくれなかった。風はあるもののしばらく,撮影と鑑賞の
時間になる。雲をなびかせた富士の眺めが美しく見える。石割山で裾野が見えないも
ののこれもなかなか風情がある。道志側には丹沢山塊を控えた,道志道が見事に確認
できる。中ノ岳・間ノ岳を超えて,御正体山に向かうが,途中標識らしい物は全くな
い。木々越しに丸みを帯びた独立峰が見えるので,それを頼りに頑張る。何度か同じ
山が見える。何かだまされたような気持ちを抱きながら,数ピークを超えていく。

 2つのピークも標識がないので,確認できない。しかし,1ピッチで楽に行けるも
のと思っていただけに,結構きつい。終わりだろうと思って頑張るとまだ先がある。
このような雰囲気を数回体験しながら登らされる。鈴木・田中さんも私の後に着いて
いる。このよに及んで,休憩もできない。年末・年始の運動不足を悔やみながら,体
に鞭を打つ。やっと出たと思うと,今度はなだらかな稜線。それを歩き通せばやっと
頂上に着かせてくれる。 山頂はなだらかな上にある。一等三角点と小さな祠がある
だけの素朴な物。ちょうど20M程度の広場になっている。明るく気持ちがよい。展望
はないが,宴会場としては申し分ない(今回は新年山行,宴会山行ではない)。鈴木さ
んといえば,ビール。当然乾杯になる。私も持参しているので,一人1リッター弱は
ある。最後の試練を終えているので,一汗かき実にビールが美味しい。瞬く間に空い
ていく。持ち寄ったささやかな食材で酒宴となる。途中,都留側から単独行の中年男
性が来たが,我々の占有している山頂がお気に召さぬかすぐに居なくなる。何をして
いたわけではないが,私が持参した酒1リットルもなくなり酒の切れ目が下山の開始。
 
 マイカー登山の宿命,同じ道を戻る。今度は富士山を正面にしながらの下降である。
木々に邪魔はされているが,時々逆光になった富士が確認できる。後ろを見ながら確
認するが,どうも御正体山の山容がはっきり確認できる場所は,このルートにはない
ようである。まして,木々に葉が付いている時期には鬱蒼としているに違いない。冬
枯れの時期がこの山の登山時期であろう。
 
 登りで気持ちの良かった鉄塔付近は,下山時も富士を楽しませてくれる。休憩を取
りながら,360度に広がる山々を確認する。丹沢方面が正光になり,特に美しく見
える。道志の「鳥の胸山」もここからはきれいな山容を呈している。鈴木さんが「鉄
塔に登ったら怒られるかな」などと言うが,田中さんに「誰に怒られるのか」といな
されてしまう。まだ十分に3人とも酔っている。

 分岐を右折し,山伏トンネル上の稜線を下りる。登りではあまり感じなかったが,
結構急である。慎重に下りたい。右に湖面が鏡状に輝いた山中湖が見えている。銀鱈
の切り身のような形をしているように思うのは,私だけであろうか。程なく登山口に
出る。15時丁度。山頂で約2時間居たわけであるから,正味3時間半の仕事である。
昭文社の地図では往復6時間であるから,梓にしては快挙である(コースタイムを縮
めることはない)。

 酔いがさめているとは思えないが,田中さんが愛車のハンドルをとり,今度は道志
道を行くことにする。すぐ鈴木さんは熟睡状態。トンネルを過ぎた最初の民宿が,道
志が生んだ歌手(現在現役かどうかは知らない),水越けい子の実家である。整備され
た道志道を田中さんが頑張り快走する。途中東野から藤野方面に曲がり,藤野インタ
ーを目指す。田中さんのこのルートの定説のようである。私も途中睡魔におそわれ休
息していた。元気な田中さんのおかげで,聖跡桜ヶ丘に16時40分到着。感謝・感謝・
・・。まだ酔いが残る体を電車に揺られながら,新宿まで鈴木さんと出て,お別れし
た。

平成12年1月3日(月)
鈴木・田中・齋藤

聖跡桜ヶ丘8:10−(中央道・東富士5湖道路)−山中湖IC−平野−9:30山伏峠9:40−
奥ノ岳・中ノ岳・間ノ岳−11:30御正体山13:25−奥ノ岳・中ノ岳・間ノ岳−山伏峠
15:00−(道志道「国道413号」)−東野−藤野IC(中央道)−聖跡桜ヶ丘16:40

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