振り返れば富士が見えて

−−箱根路 金時山・明神が岳・明星が岳

Mon, 15 Nov 1999 05:57:52


 平日休める機会に山を歩くというのは,非常に楽しいものである。本日のように天
候に恵まれていると格別である。昨日の飲み過ぎで,体調が優れず出発を躊躇してい
ると,奥様がおにぎりと多少のおかずをパックしているではないか。我が家としては
快挙である。後押しされるように,遅れながらの出発となる。

 埼玉から箱根は,やはり遠い。小田原からバスを利用したため,渋滞にも巻き込ま
れる。次第にルートも変わる。最初塔ノ沢から明星が岳を越えて進むはずであった
が,偶然乗り合わせたバスが,仙石を通過することが解ったので,金時山から明星が
岳を下りていく設定に変更してしまった。

 金時神社を目指し車道沿いに少し歩く。大きな礎石に導かれゴルフ場の横を入る
と,「金時神社」がある。山道に奉納された石製の鉞もあり金太郎の山の雰囲気を盛り
上げている。社横から幅のある登山道を歩き始める。途中林道をまたぎ奥の院を越え
ると登山道らしくなっていく。意外と植林帯を歩かされるので,展望はない。稜線近
くになり,一気に展望が開けてくる。箱根山(駒ヶ岳・早雲山)が見渡せるようにな
り,明神が岳の稜線がはっきりと確認できるようになると,分岐点である。

分岐より明神ガ岳方面

金時山山頂
 いまいまで静かだった山道(誰にもあわなかった)が,一気ににぎやかになる。当然
お会いするのは,中年以上のグループ。特に山域・日程の関係かおばさんが多い。金
時山と多少軽く見ていると,なかなかの登りをさせられる。途中の標識なども岩場な
ので・・等とあり,侮れない。そういえばいまだに富士山を確認していない。一汗か
くと山頂に着くことができる。前方には富士山が裾野から山頂まで見渡せる。噂には
聞いていたが,なかなかのロケーションである。

 溶岩で出来た岩がそこらじゅうにあるので,快適そうなものを選び陣取る。1時間
強の歩きしかしていないが,山頂の儀を一人で開催する。富士を眺めながら飲むビー
ルはおいしい。まして今日はつまみもある。暫し山頂近辺を散策し,有名な金時茶屋
も確認しておく。さすが,生ビールも置いてある。とにかく山頂は,入れ替わりに多
くの登山者が来る。長居すると根が生えそうなので,明神が岳の方へ戻ることにす
る。

 先ほどの分岐点までは,急な道を慎重に下りる。次第に緩くなりながら「うぐいす
茶屋」のある矢倉沢峠まで一気に降ろされる。このあたりから笹が背丈ほどに生えて
おり,鬱陶しい道になる。少し行くと北側下りられそうなしっかりとした道が付いて
いる。どうやらすぐ近くまでクルマで入れるらしい。
 時より後方に,金時山と富士山を確認しながら歩く。意外とアップダウンもある。
時々笹の背が低くなるところがあり,展望も得られる。しかし,午後ともなるとガス
が出始めてきている。箱根山もかすみ始めている。金時山からはゆっくりとした降路
を明神が岳まで楽しめるものかというもくろみも消えている(そもそもこの行程,金
時山・明神が岳で2度「山頂の儀」をできるという単純な発想で決めているのだから不
純である)。

 間近に明神が岳の山域が確認されるようになると,火打石岳である。山頂を巻くよ
うに道はつけられている。回り込んだありから植生が一変する。今度はススキが道沿
いに咲いている。ススキ越しに見える明神が岳も,紅葉した木々と相まって美しい。
このあたりから急な登りが始まる。登山者も少なくのんびりと登ることができる。後
方には,高度と共に金時山の後ろに富士山が大きく見え始めていく。

金時山と見え始める富士

明神が岳山頂
 登り切ってからなだらかな道をゆっくり歩けば,「明神が岳」山頂である。ここもな
かなか広く気持ちがよい。今度は南に箱根山が見える。大涌谷の煙が間近に感じられ
る。ちょうど金時山の上に乗るように富士山が見えている。山頂には方位盤もあり,
近辺を確認できる。東には小田原から相模湾が見える。ややかすれかけた展望ではあ
るが,十分満足できる。でた汗の分,水分(ビール)を補給する。また富士を眺めなが
らしばらくゆっくりする。

 やや土が露出している道を滑らないように下りる。すぐに,最上寺(大雄山)方面の
分岐が2箇所ある。高度を下げるに連れ,展望の無くなる道を下りる。数回アップダ
ウンを繰り返していると,鞍部にでる。ここから宮城野への降路があるが,そのまま
進み明星が岳を目指す。

明星が岳手前から明神が岳を見る 
 着いてみると,平らな稜線に標識があるだけの山頂。笹の中に鳥居があるが,朽ち
かけている。拍子抜けしてしまう。塔の峰まで一気に下りようと思っていたが,進路
を見ても草がだいぶあり鬱陶しそう。時間の関係(6寺には横浜に行き宴会に出なけ
ればならない)もあり,宮城野へ下りることにする。

 降り口はなだらかなのだが,一気に降ろされるような道が付いている。滑らないよ
うに気をつけながら進む。途中「大文字焼き」のための道が右側に何本か付いているの
で迷わないようにしたい。集合アンテナの支柱を回り込むように道が付いている。急
なせいか,割に早く下降できる。保養所・別荘のあるところにでれば,すぐに宮城野
橋にでられる。宮城野方面へ向かうようにしないと,国道にでられないので気をつけ
たい。

 宮ノ下に200円で入浴できる共同浴場があるので向かう。途中多くの温泉の看板が
入浴可の呼びかけをしているが,皆500円以上である。共同浴場は非常に素朴であ
り,休憩料(500円)を支払えば,2階に20畳ほどの休憩室があるので「持ち込み宴会」
が可能なのもうれしい。目立たないが,富士屋ホテルの向かい側にある。男女とも2
つの浴槽があり,混雑状況を見てどちらかに入ればよい。運良く沢沿いの展望の利く
方が開いていたので,一人で悠々と汗を流すことが出来た。
 16時を回り始めたので,急いで宮ノ下駅に行き久しぶりの登山電車に揺られなが
ら,小田原を目指す。久々のスイッチバックを楽しみながら帰路に就く。 

平成11年11月中旬  齋藤修
 幸手6:48−9:10小田原9:16−10:40仙石10:50−金時神社−12:00金時山12:30−14:00
明神が岳14:15−明星ガ岳−宮城野15:45宮ノ下(温泉)16:25−小田原−横浜(宴会)−
幸手

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