秋晴れの一瞬をねらった

−−上州・稲包山 短時間で千M峰の大展望  

Fri, 22 Oct 1999 07:58:46


 今日は,偶然休むことが出来た。この秋は上空の空気の動きが不安定で,どうも気
持ちの良い秋晴れが生まれない。空を見ればなかなかの状況,逃す手はない。自動車
が空いているようなので,久しぶりのマイカー登山となる。この時期は,上州南部の
山々が気持ちがよい。多少昨日のお酒が堪えているので,簡単に登れる山にする。そ
うなれば,最近林道が延長されたと聞く,稲包山と言うことになる。
稲包山遠望
 稲包山は,猿ヶ京と四万温泉の山峡にもあるが,今日行くのは,甘楽から入る山域
である。高速道はもったいないので,国道のバイパスを選んで進む。渋滞もなく来ら
れたが,初めての経路のため自動車道でのルートファインディングが求められる。勘
に頼りながら上州福島駅を目指す。ここから南下(山道になる)すれば,那須と言われ
る登り口の集落に到着できる。山村の寂れた雰囲気が漂う村である。橋手前の標識を
確認して,左折する。観光用であるが水車小屋(そばの精製用らしく,土日はそば打
ち体験・食事もできる。平日は,10人以上集まれば1000円/人で可能なようである)
があるので,目標になる。

 ここからは,非常に道が狭くなってくる。ガードレールもないところがあるが,谷
側は落ちている。しかし,何の目的で進めているのか下仁田方面に抜けるよう延長工
事が進められている。だからところどころ嫌に立派な部分が出で来る。20分ほどで,
神の池園地と言われる整備されたところに出る。引水された池に東屋が設置されてい
る。ここに停めれば山頂までは1時間強でいけるはずである。こんな手軽な山,一人
で来るのはもったいないが思いつきのため,つきあえる人はいない。

 登り口が意外と解らない。草が生い茂り道が不明瞭になっている。勘に頼り,踏み
跡を見つけだす。標識らしい物もなく(少しあがった沢に手書きの物はある)地図を頼
りに進めば,遊歩道沿いに落ち着いた道が出てくる。植林帯にはいると幅のある快適
な道になる。すぐに新設中の林道を超える。数分で素朴な一の鳥居になる。多少広く
なっており,夏は涼しさを与えてくれそうである。分岐になっており,ここで山頂ま
での登路を決定しなければならない。今日は尾根沿いの道を行き,谷沿いの道を下り
てくることにする。

 歩き始めから聞こえていた機械音がここで判明する。登山道ぎりぎりまで山が崩さ
れ,コンクリートの崖に変わっている。下には誰が使う物か,細い林道が敷設されて
いる。やせてしまった尾根を落ちないように歩く。10分ほどで「赤鳥居」(鳥居峠)に
つく。すでにここまで工事用の道路が迫ってきている。事実上,下仁田方面とはつな
がっているらしい。古い石灯籠が鳥居の後ろに,置かれている。加えて,『熊の生息
地で熊に注意して下さい』の標識。確かに解るがどう注意すればよいのだ。行政側の
責任逃れの標識意外に他ならない。どうも気が弱いせいかガサという音が気になり出
す。

 歩きやすい登路が続く。自然林の中,葉が落ちかけた森林は明かりが差し込み気持
ちがよい。シャラの木が多いらしく,なめらかな枝が味わいを出している。次第に稜
線上の道になるが,樹木が多いので望ましい展望は得られない。途中,地に這うよう
なベンチが一騎置かれているところがあり,妙義山・下仁田方面の眺めがよい。すぐ
に山頂かというような雰囲気があるが,なかなか着けない。安易な山ではあるが,岩
場などもあり足元の変化は楽しませてくれている。登山道も信仰のせいか整備され,
ロープ及び鎖なども要所要所に付けられている。
山頂より荒船山方面
 山頂直下と思われるところに最後の分岐がある。ここで周遊コースが合流してい
る。山頂には,右に進み岩肌をトラバースするように道が付けられている。行き止ま
りには,稲含神社があり,そこから折り返すように山頂への道が付けられている。神
社からは,荒船山・浅間山方面の大展望が得られる(朝方雄大に見られていた浅間山
に雲が掛かってきているのが残念である)。

 岩稜帯の登りになる。紅葉し始めたツツジの葉を楽しみに歩いていると,展望が次
第に開けてくる。程なく「稲包山」 山頂に出る。10畳ほどの小ピークである。標識と
方位盤が設置されている簡素な山頂である。しかし,展望がすばらしい。多少樹木で
邪魔されるところはあるが,パノラマの眺めを与えてくれる。間近には赤久縄山の紅
葉した姿。近くは御荷鉾山,秩父連山越しに八ヶ岳がある。荒船山・浅間山・妙義山
塊と切れ間無く流れていく。上越道を挟んで,武尊を後方に添えた赤城の山が堂々と
している。眼下には藤岡から下仁田の町が見渡せる。紅葉も盛り前の美しさ,展望を
支援してくれている。駐車スペースからたった40分で山頂に着いている。その割には,
得難い眺めでる。当然山頂は一人で占有している。喉も渇いていないが,儀式なので
しょうがなくビールを1本飲み干す。
西御鉾山方面
 帰路は,分岐まで戻り「秋畑稲含神社」 を目指して下りる。最初落葉のせいもあ
り,道がはっきりしないが,次第に踏み跡がはっきりしてくる。山頂は岩稜帯になっ
ているようで,結構急な下降が待っている。沢をまたげぐと,多少登り返すようにな
り,神社が現れる。素朴な社屋とこま犬が迎えてくれる。再び下降になるが,沢筋に
水が流れ出でいる。丁寧に細い竹で引水し導いている。締め縄があり,「神の水」と
言うところらしい。飲んでみると美味しいので,水割り用の土産とする。

 次第に緩やかな傾斜となり,幅のある道になってくれば,分岐があるがどこに下り
られるのか南側に降路が付けられている。そのまままっすぐ行けば,出発点の一の鳥
居に到着である。後は来た道を,車まで戻ればよい。高々2時間程度の運動にしかな
らなかったが,気持ちを爽快にしてくれる眺めを楽しませていただいた。

 帰路は,藤岡側に「あずさの湯」という入浴施設があるというので山越えで帰ろうと
思っていたが,先日の豪雨で11月中旬まで通行止めになっており,行くことが出来な
い。やむなく戻り,甘楽方面から桜山(鬼石)の日帰り温泉の下調べをしながら帰る事
にした。

平成11年10月18日(月)
東鷲宮6:20−熊谷−本庄−上州福島−8:30那須−9:00神の池9:15−一の鳥居−赤鳥居
−分岐−9:50稲含山山頂10:15−分岐−秋畑稲含神社−一の鳥居−11:00神の池11:10
−甘楽の湯−牛伏ドリームセンター−桜山温泉センター−こだま温泉−本庄児玉IC−
熊谷−14:15幸手


今回確認した,日帰り可能な施設を参考までにご紹介します。

[甘楽の湯] 甘楽町総合福祉センター  0274-74-5700   9:30〜17:00
良くある老人施設の一環で温泉を掘り当てた物。相当深くから汲み上げているらし
く,何千年前の温泉などと能書きがある。しかし,立派な施設どんなに混んでも余裕
がありそうな種々の内風呂と露天風呂がある。何せ山屋にはありがたいのは,持ち込
み自由と言うことにある。ナトリウム泉。月曜・年末年始原則休館。公営の施設。
(近辺には村民が全員は入っても余裕がありそうな,市民会館・保養施設・運動施設
が余るほどある)

[吉井町保養施設「牛伏ドリームセンター」]  027-387-9111  10:00〜15:00
山のなかにあるゴミ焼却場の余熱利用の施設。宿泊も7000円(2食付き)程度で出来,
宴会場・食堂も完備している新しい施設である。宿泊者は,10人揃えば高崎から送迎
してくれる。温泉ではないらしいが,その分施設(露天風呂・サウナなど)が完備して
おり気持ちがよい。持ち込みは不可。600円/3時間。毎月25日・年末年始休館。タ
クシー高崎駅か30分,吉井駅から10分。

[桜山温泉センター「もえぎの湯」] 0274-52-6226  10:00〜20:00
半民間の施設であるが,規模のある露天風呂も完備している。10月下旬から12月初旬
にかけて近隣の桜山が冬桜の季節になる。7000本というのだから見応えがある物らし
い。食堂も広く休憩室も完備している。安価な食事の提供があるようである。交通の
便がやや悪いが,高崎・藤岡からバスも出ているらしい。タクシー(八高線児玉・高
崎線新町)で相乗りすればさほどのものではない。ナトリウム泉。毎月22日・年末年
始休館。信越道本庄児玉より,30分程度。500円/3時間。持ち込み不可。

[こだま温泉]  こだま温泉ファミリ−プラザ  0495-72-8880
最近の温泉ブームで掘り当てたらしい。通りすがりに見つけたが,なかなかの施設を
有している。浴槽の種類も多いし,この立地条件なのに露天風呂まである。食堂も完
備している。休憩室等やや狭いが,どういうわけが併設してカラオケボックスがあ
る。自動車での帰路に利用してみたい施設である。ナトリウム泉。露天風呂(ジャグ
ジー風),サウナ,休憩室。レストラン完備。本庄駅・児玉駅間のバスがあり共に10
分程度。本庄児玉ICまで10分弱。鬼石方面国道沿い。600円/3時間。持ち込み不
可。ヘルスセンターという感じではなく,立ち寄り湯の雰囲気がある。

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