奥武蔵の小縦走

−−曇天のなか 高山不動から丸山へ

Thu, 21 Oct 1999 00:24:57


 朝方の晴れ間につられ,家を出てしまう。気圧は安定していないことは解っていた
が,女心と秋の空という格言に期待しつつ川越線に乗り換える。高麗川から八高線に
なり,東飯能駅で下車する。西武線の乗り継ぎが悪く,30分程度時間をロスする。
すっかり立派になってしまった駅舎(つい最近まで西武とJRが寂れた駅を共有して
いた。現在はエレベータもある近代的な駅になってしまった。)に感心しながら,近
辺を散策する。残念ながら電車の本数は増えていないようである。

 乗りやすい(比較的ゆったりとしたボックス席)西武の各駅停車で,西吾野駅に着
く。この辺りの西武の駅は,立派ではないが,きれいに掃除されていて気持ちがよ
い。また,各駅舎にトイレも整備されているので,ハイカーには便利である。駅で降
りたのは,平日の成果私と中年のハイカー1名だけである。身支度を整えコースを確
認しながら歩きはじめる。

 駅は高いところにあり,車道まで多少下りる。そこから川沿いにゆったりとした傾
斜道を登っていけばよい。地元が「美しい川」を提唱しているようで,人家がある割に
はゴミもないきれいな川である。高曇りで展望が期待できなくなってきただけに,近
辺の様子が気にかかる。途中製材所などもあり,かつては林業で栄えたらしいことが
伺われる。

 途中見晴台から高山不動に行く道標があるが,今日は三滝を見ながら行こうと思っ
ているので,見送る。道標に沿って右折していく。次第に道幅は狭くなるがしっかり
とした車道がついている。植林帯をしばらく歩くと,突然コンクリートの高架橋が出
で来る。どうやらトンネルらしい。20メートルほど外部にて出いるがカバーがされて
いる。電車の経路にはなっていないので,何らかの工作物ではあるには違いない。

  少し行くと,今年出来たばかりの,珍しい堰堤が沢に出来ている。中央部が鉄骨製
のジャングルジムのようになっており,自然の摂理で埋まるようになっているらし
い。その曲がり角に,高谷の不動への登り口がある。あまり目立たないが,道標があ
るので迷うことはない。ここから山道になる。割に歩かれていないのだろうか,踏み
跡が弱く草も多い。次第に高度を上げ緩やかな,尾根道に出るところに「大滝」への分
岐がある。200mの指示なので多少躊躇するが,景色の変わりに三滝と決めているだけ
に,逃げるわけには行かない。多少下降しながら沢に着けば,立派な標識のある寂し
い大滝がある。2段に分かれて落ちているせいか,20m強であろうと思うが迫力がな
い。
 ルートでは分岐まで戻るようになっているが,すぐ横に稜線に出られそうな踏み跡
があるので利用してみる。植林用の道らしいがしばらく行くと突然茶畑に出られる。
そこから踏み跡が不明瞭になるが,畑の横を登れば民家に出られる。まるでハイカー
のために整備されているような,ベンチや芝がある庭を有している。丁度先ほどの登
路も,この広場に出でおり,しばらく林道歩きをさせられる。すぐに山道に戻る。山
野の畑のなかを横切り,多少下るように行くと林道に出る。そこが高野と言われると
ころらしい。「白滝」の標識があるので,行ってみる。沢沿いに登るように付けられて
おり,150mほど行くと先ほどと同じ様な標識が立っている。多少幅があり,水しぶき
がたっいるので,白滝と言われるのかもしれないが定かではない。

 分岐点まで戻ると,沢に橋が架けられており,渡れば高山不動への道である。そう
いえば三滝のはずが二滝しか確認していない。たぶん大滝のエスケープルートで逃し
たのであろう。植林帯の整備された道を登ると,稜線で見晴台からの尾根道と合流す
る。十字路になっているが,尾根通しに行ってしまうと,高山不動にはでられないよ
うである(どういう訳か標識の指示はない)。下りるように歩いていくと,墓が出で来
る。道幅が広くなれば,すぐに高山不動に着くことができる。丁度樹齢数百年という
銀杏の大木の横に出られる。

 参道の中間点に出た。不動へは,百段強の石段を登りきれば着くことができる。な
かなか急である。本日最大の急登。国の指定になっているらしく,本殿はなかなかの
規模である。関東三不動というがあとの二つは知る由もない。屋根付きの休憩所と小
綺麗なトイレがあるので利用できる。その間に奥の院(関八州見晴台)方面への道が付
けられている。奥に宝物殿らしき物がある。手入れされたツツジが「高山」の漢字を型
取ってある。快適に歩いていると,小型ではあるが蛇と出くわす。すぐにレストハウ
スのある峠で車道を横切る。ここにもトイレがあるがあまりきれいではない。

 整備された公園状の道を進めば,再び林道に出る。これが,奥武蔵グリーンライン
と呼ばれるこの稜線に付けられている林道である。何の目的で山頂を貫いているのが
解らないが,今後何度かお会いすることになる。すぐに奥の院の指示があり,登山道
を5分ほど登ると,関八州見晴台に着くことができる。ここが高山不動の奥の院を兼
ねているらしい。小さな神殿がある。晴れていれば,伊豆が岳方面や飯能方面の山々
が美しいのであろうが,今日は確認できない。関東ふれあいの道にもなっているの
で,山頂は東屋・案内板などもあり,整備されている。
 こうなれば,ピークハントをしながら最終目的地,丸山・日向山に行くしかない。
時よりかすかに見ることが出来る山々を心のよりどころに,足を進める。次は飯盛山
である。昭文社の地図だと飯盛山の北側が,飯盛峠になっているが,実際の標識は手
前が飯盛り峠になっていた。飯盛山自体山頂直下が,アンテナ基地になってしまい山
としての様相をなしていない。越生方面の降路も,林道化されてしまっているよう
で,定かな標識が見あたらない。山頂も標識こそあれ,寂しい物である。道を下りて
も地図にある分岐はなく,林道に導かれる。このあと何度か登山道・林道歩きが交互
に展開される。

 依然あった登山道が,林道により分断されると悲惨である。本来だと穏やかな尾根
歩きだったと思われるルートが,単なるアップダウンのショートコースになってしま
う。まして,この辺り山頂らしいピークもなく鬱陶しいばかりである。飽きてきなが
ら歩いていると,?峠に到着する。峠らしい雰囲気はまったく感じられないところ
に,りっばな標識だけがある。どうも自動車のために設置されているようでならな
い。そこで今朝ほど西吾野駅で一緒に降りた中年の方が,昼食の準備をしておられ
た。聞くと直接,?峠へ登ってきたようである。多少会話を交わした後,先に行かせ
ていただくことにする。

 ここからは,しばらく林道を歩いた方が歩きやすいようである。飯能市との市境を
超えると都幾川村である。のんびり歩いていたいのだが,時々山道に導かれるので,
引きずり込まれてしまう。今度は,自動車の墓場になりつつある様なところが入り口
になっている。無用になった自動車が山に落とされている。その横を歩いていくと,
久しぶりに山道らしい道になる。小川町方面の展望があり,笠山・堂平山・剣が峰な
どが確認できる。途中の小ピークで多少の腹ごしらえをして,先を進む。
 林道を歩いていると「ツツジ山」の標識があるので,誘われてしまう。地図によると
奥まったところがツツジ山になっているが,関東ふれあいの道の標識では手前の三角
点地点(879m)がツツジ山となっている。ここも展望もないつまらないピークになって
いる。正丸駅への標識はあるが,私の地図には表記されていない。記録撮影の後,先
を急ぐ。刈場坂峠までは,グリーンラインに沿いに行った方がよいので,アスファル
ト道で距離を稼ぐ。

 峠はかなり広い場所になっており,茶店もある。晴れていれば,丸山から大霧山・
堂平山方面の眺めが良さそうである。茶店のおばさんに休んでいきなよ。と声をかけ
られたが,どうもその気になれるような雰囲気はない。ここから正丸駅方面へ行く車
道があるが,どうも閉鎖されているようである。しばらく快適なハイキング道が付け
られている。途中陳腐なセカンドハウスらしき小住宅が建っているが,バブルの遺産
であろう現在使われている気配はない。

 途中,自然林のなかに十字路があり,ここで右に曲がれば「正丸峠」に出られるらし
い。里心がよぎるが,直進して大野峠を目指す。丁度,堂平山方面からの林道とぶつ
かっているようで,広い場所であるが特に何もない。ここからは,防火帯沿いに付け
られた,気持ちの良い道を歩くことが出来る。途中,この辺りの低山には多いアンテ
ナ塔を見送り,ひとがんばりすれば本日の最高峰「丸山」に出ることが出来る。13時少
し過ぎ予定より意外に早く着くことができた。頑丈なコンクリート製で出来ている展
望台が山頂を占領しているが,その回りに程良いベンチ広場がある。今日も10人程度
の初老の集団が,宴会を催している。

 やっとビールを飲むことが出来た。途中でもと考えたが,最後の登りを快適に過ご
すために我慢していた。しかし,あまり汗をかいていないせいか美味しくない。残し
て置いた,唐揚げをつまみにロング缶でのどを潤す。この一体は,県民の森となって
おりいろいろな施設も設置され整備されている。道も多く分かれるが,日向山方面の
道を進む。防火帯に沿ってす進めば間違いがないようである。途中,大棚山へ行かぬ
ようにすれば間違うことはない。思いの外急な道で,うっかりすると滑ってしまうの
で慎重な足取りが求められる。

 林道をまたぎ,下降すると防火帯から分かれ,日向山方面への下りとなる。急に道
が細くなる。下草もあり,みず道にもなっているのであろう。ところどころえぐられ
ている場所があり,歩きにくい。途中で,芦ヶ久保駅への分岐を見る手前から歩きや
すくなる。少し行くと,林道に出る。これで奥武蔵グリーンラインをすべて踏破した
距離になる。少しおりたあたりから標識は出ていないが,日向山への登りになる。東
斜面に整備された斜面を有し,散策路がある。稜線づたいに登路があるのでそれを選
んで登る。すぐに山頂になるが,樹木が邪魔して展望はそうは良くない。武甲山方面
が開けているので,雄大な展望が晴れていればあるはずである。しかし,結構広い山
頂なので,落葉の時期は,楽しめるものと思う。

 後は下るだけ,標識も明瞭ではないが,高原パーク横瀬の横に道がつけられれてい
るので,それを利用する。猪のにおいがしてくれば,琴平神社が見えてくる。これか
らの季節楽しみな「芦ヶ久保果樹公園村」に到着である。興味があるので高原パークに
立ち寄り,六番峠ハイキングコースを下る。ちょうど整備中のようで,柔らかい足下
に注意しながらおりる。街へおりれば,武甲山の採石の音もひときわ大きくなる。礼
所7番・9番を横に見ながら,「武甲温泉」へ向かい一浴してから帰路につく。


[武甲温泉]
民間施設であるが,入浴料600円(平日1日・休日3時間)の割には,露天風呂・内風
呂等も充実していてなかなか気持ちがよい。洗い場も大きく,露天も庭園風になって
おり洗い場までもある。内部には,サウナ・冷水風呂・泡風呂もある。持ち込みはで
きないが,安価な料金で食べ物が手にはいる。宿泊できる旅館(1万円程度)も隣接し
ている。横瀬駅から徒歩10分で着く事ができる。無休。単純硫黄温泉・0494−2
5−5151

平成11年10月中旬
東鷲宮−西吾野9:00−高山不動10:00−関八州見晴台−飯盛山−?峠−ツツジ山11:30
−刈場坂峠12:15−大野峠−13:15丸山13:40−日向山−14:50武甲温泉15:20−15:35横
瀬−東飯能−大宮−東鷲宮

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