思い付くままに

−−中央線沿線の山・滝子山

Sun, 3 Oct 1999 20:59:24


                思い立って出発中央線に沿ってそびえる 滝子山へ 
                なかなかの行程、笹子餅も美味。平成11年9月28日(水)

 天気予報に反して,朝起きるとなかなかの好天、運良く5時過ぎに目が覚める。
我が家を5時台に出るとかなり遠方まで足が延ばせる。
「奥多摩」「大菩薩嶺」「陣馬」の地図をザックに入れ飛び出す。行き先は電車のな
かで考えればよい。

 しかし,大宮をすぎるあたりからやや天気が不安定になってきている。戦意が多少
薄れる。今日を逃すと,平日あけられる日がしばらく無い。この雲行きでは,展望は
望めそうはない。検討する。当初,大菩薩嶺から牛の寝通りを経て「小菅の湯」へ行
く予定であったが,2000Mはこの天気では相応しくない。とにかく八王子まで行き,
陣馬方面か南大菩薩に行くことにする。

 無理だと思ていた八王子発7:48発・甲府行きに,高尾で乗り継ぐことが出来た。こ
の電車に乗ると,不思議にほとんどのバスが各駅から接続している。覚えておいて欲
しい。再度大菩薩嶺(塩山で10数分の乗り継ぎ)に気が向くが,空の様子が変わらない
のでやはりやめる。しからば,日帰りで一番奥になる「滝子山」にしてみれば,今後
だんだん東京方面へ戻ってくれば良いなどと,変な計画が頭をよぎる。

 携帯電話で,「初狩下車−滝子山−笹子下山」のメールを送り,登山届け完了(登
り口に提出場所が無い場合に備え自宅には簡単なメモを送っている)。初狩から沢沿
いに登り,山頂を経て東長窪沢を下り,曲がり沢経由笹子雁ガ腹摺山・笹子鉱泉,笹
子駅という欲張った計画を決めた。

雨の山道

  9時前に初狩駅に着くことができた。5・6人の中年女性が一緒に下りるのみ。平
日は静かな山行が保証される。女性達は,「高川山」方面に行くらしい。駅前で最後
の食料・飲料水を調達して歩き始める。目立った標識はないが,地図を頼りに行けば
心配することはない。しかし,少し冷たい物が降り始めている。ここまで来て帰るの
も能がないので,頑張ることにする。藤沢入り口の信号から右折すれば,沢沿いの道
を進めばよい。笹子川を渡り,高速道路をくくれば,静かな山村歩きとなる。まだこ
の辺りは,刈り取った稲を天干ししている。懐かしい風景を楽しみながら歩ける。庚
申塔などもあり,山村生活の雰囲気が感じられる。

  藤沢子神社をすぎたあたりから民家が無くなる。やがて大沢沿いの林道に移り,最
後の民家がある辺りから,車一台がかろうじて通れるような道になる。しかし,なか
なか下草なども刈られて整備されている。ガサという音がするので,獣と思い回りを
見渡すが確認できない。再びするので,上方を見ると非常に高い木の上で枝をはらっ
ている。「やまかい・・」というので簡単にあいさつを交わす。最近めっきり少なく
なったこのような光景が残っていた。薄暗く寂しい山道に愛着を感じてきた。

 数分で林道も無くなり,登山道になる。どういう訳か標識はないは,道沿いにすす
めばよい。ツリフネソウが咲き乱れいる。盛りを過ぎて咲いているオマツヨイグサの
黄色との妙な調和がある。しばらくすると,小沢(マキヨセ沢)を渡る。ここには標識
が付けられているので安心できる。大月市が付けているオフィシャルなものと,『滝
子山を守る会』が付けているものが混在している。

 しばらくは,沢沿いの道になる。天候のせいでどうも鬱陶しい感がある。時より薄
日が射し,樹木が開けているところではホッとする(久しぶりの単独行多少物足りな
い)。所々美しい流があるので,それを唯一楽しみに歩く。植林づたいの道となり,
沢と一度別れるが,次第に近づき,ベンチがある場所に着く。最後の水場らしい案内
もある。昭文社の水場より,200Mは高い位置だと思う。一汗かいたので休憩をとる。
霧状の雨が降ってきている。『秀麗富岳12景』に指定されているので,本来だと
見事な眺望があるはずなのだが,まったく期待できない。

 ここからは,植林帯の道なる。高度を稼ぐためジグザグの登路をただ単に頑張る。
きれいに間引きされている,樹林以外何もない。20分程度で,尾根道に出る。多少広
くなっている場所があり,数名での休憩が可能である。開けているので展望もあるは
ずである。再び樹林帯の斜面に導かれて,高度を稼ぐが,次第に自然林になってくる。
当然,落ち葉も多くなり明るくなってくる。やはり,山は自然のままのなかを歩く方
が気持ちがよい。

 天候はあまり芳しくない。霧雨から,粒状のものに変わってきている。樹林帯なの
で,濡れはしないが,嫌な予感がする。こうなれば,ピークハントしか考えられない。
再び稜線に戻れば,後は稜線づたいの道になる。道にも岩が多くなり,足かがりにな
る。パット明るく広い場所に出と,檜平である。素朴なベンチと無数のトリカブトの
群落が歓迎してくれている。大柄のトリカブトが実に見事に咲いている。これ以降相
当数,楽しませてくれる。オカトラオノと思われる白い花も加わっている。

 昭文社の地図では山頂まで,1時間の行程になっているが,私は20数分で付く事が
出来た。地元の標識のがあっていれば,1336M地点ではなく,もう一つ上の1450M付
近の箇所と思う。どうも登山地図は,調査した人によってかなりの怠慢さが感じられ
る。ガイドブックも同様なので留意しておきたい。三等三角点のピークを過ぎると多
少下る。ここに,分岐があり,大谷ガ丸方面(実は私この標識たいして確認せず過ぎ
てしまったので、あとで大変なことになる)と別れている。

淋しい山頂

 5分ほどで真新しい標識が立つ「滝子山」山頂に出る。それまで降り始めていた雨
もやみ,多少明るくなってきている。この間に山頂に来た証の写真を撮り,祝杯をあ
げる。どう考えても私以外の登山者はいない。本来だと360度の展望と大きな富士
山が三峠越しに見渡せるはずである。途中調達のサンドイッチと缶詰でさやかな宴席
を持つが,30分は持たない。下山を開始する。

 進行方向に,踏み後があるので進む。やや踏み後がやせてくる。まして急勾配。途
中「これより危険」の大月市設置の分岐があるが,二股になっているので,私は左(
南陵「寂?尾根」「中尾根」などいろいろ呼ばれている)が危険で右が縦走路だと判断
し,下る。20分程度いっても鎮西ガ池にでない。この辺りで,やっぱり南陵を下って
いることに気が付く。十分踏み後もあり,極端に厳しいルートではないようであるが,
単独行,万一を考えもどる。50分程度のアルバイトをしてしまった。

 山梨百名山の標識のある山頂は,この山域の最高点1610Mだったようである。下り,
分岐を確認するとやっとこの山域の登山道が判明した。気持ちは明るくなったが,南
陵の登り返しでくじけ,同じ道を戻る決意をしていただけに心が迷う。鎮西八郎為朝
の伝説がある『鎮西ガ池』を見ておかないのも義理を欠く。5分ほどで着く。
雑草が生い茂り,大した場所ではないが,小さな池(水たまり程度のもの)に清水がた
まっており,飲むこともできらしい。ここまでくれば,当然笹子方面へ下りたくなる。

 大谷ヶ丸への分岐は平坦地についているが,大谷ヶ丸方面の踏みとはほとんど確認
できない。近年,ほとんど歩かれていないようである。植林帯との境を下っていくと,
藪下に着く。ここの分岐は明瞭である。大谷ヶ丸への道は明瞭に付いている。この辺
り,ブナ・ナラの保護林となっているらしく,標識もある。ここから地図にはない道
もあるが,標識に従い笹子駅方面を下っていく。等高線をゆっくりまたがりながら下
る道が続く。整備された植林帯は気持ちがよいが,降り出した雨が下草をぬらしてい
るので,下半身が濡れる。
 平ツ沢(ズミ沢)沿いに下山路が着いているようであるが,下草が多く歩きにくいの
で,地図にはない上方の道を選ぶ。歩きやすいが沢からはどんどんと遠ざかっていく。
曲り沢峠への分岐であろうが,標識も踏み後も判明できない。当初の予定の行程は,
このような訳で天候が良くてもだめであったらしい。下ると再び先ほどの道に合流す
る。後は沢沿いに,渓流を楽しみながら下ればよい。時々なかなか美しい流や滝もあ
る。

美しい小滝

 最後は植林帯に再び入り,小沢を渡り,山仕事の小屋を見過ごせば,次第に幅が広
くなっていく道沿いに進む。最後,橋がなかされ渡渉をする場所があるが,岩を利用
すれば濡れなくてすむ。そこを抜けると,林道に出られ登山道入り口となる。いろい
ろな事がおき加えて,ルートの判断に気を使ったので,終了の祝杯をあげる(まだ充
分冷えている)。

 何に使うものか立派に整備されている道を,笹子駅に向けてくだる。大鹿沢沿いに
林道が付けられている。日帰りのバーベキューなどに最適な桜公園などもある。高速
道路を乗り越え(ここでも昭文社「山と高原地図−大菩薩嶺」の地図では,下をくぐっ
ている)。どうもこの山域は怪しい。私は昭文社の地図は,信頼性が高いので利用して
いるが,最近改訂が多くなる都度に著者の努力が希薄になっているようでならない。
最近は地形図を併用せざるえない。

 集落のなかを歩き,標識や道を頼りに笹子駅を目指す。稲村神社を過ぎれば,左折
し中央線をくぐる。あとは,国道沿いに駅まで行けばよい。途中地酒の笹一酒造があ
るので,時間があれば寄っておきたい。高速道の発達でこの道はあまり自動車では通
ることも少なくなってきている。駅の近くで,当然『笹子餅』を購入し,帰路に着く。


単独行 齋藤 修
平成11年9月28日(水)

幸手5:57-7:03新宿-8:00高尾
-初狩駅8:50-登り口9:30-檜平10:50-11:20滝子山12:00-13:20下山口(林道)-14:30笹
子駅15:57-大月-新宿-幸手18:20                    

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