北アルプス核心部

−−黒部上の廊下遡行速報 斎藤

Mon, 16 Aug 1999 19:56:11


関東地方が,大雨等の影響が出ている中,北アルプス「上廊下」は無事終了いたしま
した。

11日
扇沢行きの夜行バスに乗車のため集合場所に集まるが,橋元・中村氏が出発時間間近
になっても到着せず心配していると,なにやら幸せそうな顔をして両名到着。なんと,
出発までひと宴会をしていたとのこと。心配して行ったり来たりしていた善さんの苦
労は,なんだったのか・・・。

12日
5時過ぎに,扇沢到着。トロリーバスの出発まで時間を過ごし,臨時の7時に乗り黒
部ダムへ。平の渡しまで12時の定期便に乗れるように頑張り到着。湖畔でビールを冷
やしてのどを潤し乗船。同乗した他の登山者はほぼ全員が「上廊下」の模様。みな元
気良く下船し足取り軽く進むが,我がメンバーはどうも遅い。奥黒部ヒュッテまでは
なだらかな道と思っていたが途中の登山道の崩壊等の影響でかなりのアルバイトをさ
せられる。
しょうがないので途中の清流でビールを冷やす事2回。どうにかヒュッテに到着する
頃には,雨が降り始めいやな雰囲気。大森氏の機転でヒュッテ泊まりにして明日に備
える。夜半過ぎから豪雨になったが判断の的確さに感謝。しかし晴れ間をねらい「牛
肉のみそボイル」及び,ビール10本・日本酒(大山)2.5リットルで大宴会。

奥黒部ヒュッテ


読売新道隊出発


13日
早朝,読売新道隊(橋元・中村氏)を見送った後昨日の雨で増量した沢を目指す。最初
の渡渉で,善さんがまず流されザツクに載ったまま20m程度流されるが自力で立ち直
る。続いて大森氏が転倒15m程度移動してどうにか静止。帽子を無くしたが怪我はな
く無事復帰。幸先悪くどうなることかと心配しながら進む。
そこはベテラン登山隊、後は快適に渡渉を繰り返しながら進む。午前中は天気も良く
快適に進む。下の黒ビンガも腰・胸までの渡渉で乗り切り順調に通り抜ける。橋元氏
からの助言によりとにかく水の中に入れということなので,積極的に水際をねらいな
がら歩く。
上の黒ビンガも激流に流されるのをこらえればなんと言うことはない。多少気合い抜
けの感をのこしながら,金作谷出会いのテントサイトで絶好の場所を確保して早めの
終了とする。
このあたりから雨模様となるがどうにか夕刻まで宴席を持つ。齋藤はイワナ釣りにト
ライするが成果無し。
流木のたき火はなかなか快適、酔いに任せ休息をとる。

腰までの徒渉は厳しい


激流のへつり


14日
この上部は昨年自然崩落でダムになったようであるが今年は壊れており小さなゴルジ
ュが残るのみ。渡渉の繰り返しで通過する。丈夫で大きなプール。善さんは泳げると
言うが急流でどうやっても無理。なだめて左岸の岩場を登り高巻く作戦へ変更し無事
通過。この後は次第に廊下状になる黒部川を楽しみながらあるく。しかし,天候は悪
くなり,雨。
増水は気になるが気合いを入れ進む。「泳ぐゴルジュ」と名付けられた場所ではとう
てい足が着く場所がない。対岸まで胸までの渡渉をしてザイルで確保しながら右岸を
へつりながら通過する。
核心部もここまで,奥黒部といわれる上流を楽しみながら上流を目指す。時間と共に
雨は大粒になり薬師沢手前30分程度の適地で幕営終了とする。雨をしのげる岩屋があ
り宴席を確保でき一安心。
夜半から雨足が強くなり心配する夜を明かす。1時過ぎから弱まり雨がやむ。

ひとときの憩い


快適な上流部


オーイ待ってヨー


15日
雨で重くなった荷物を背重く感じながら薬師沢出会いを通過し太郎平を目指す。意外
と木道で整備されており快適な登路を進む。快方に向かうと期待した天気も雲が厚く
なりいやな雰囲気。太郎平で留守本部に連絡後激冷えのビールで乾杯。
折立への下山路ではいよいよ雨が降り出す。本降り状態。3日間の天候を恨みつつ無
事下山。
運良く最終バスに間に合い急遽折立幕営を変更し富山へ向かう。この後順調に乗り継
いでほくほく線経由で越後湯沢へ着く。駅員に温泉を聞き5日分の汗を流し非常に幸
せな気持ちになる。後は新幹線で帰路につく。まして始発のMAX。快適な終了でし
た。

へつり


太郎平にて


リーダの大森氏の周到な準備,ルート判断に感謝をしつつ帰宅する。
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