利尻・礼文 覚え書き 大森

Mon, 28 Jun 1999 18:36:18


 1999.6.28  大森

5年ほど前に岩橋崇至氏のオリジナルプリントを手に入れ、仕事場に掛けている。
絵柄は、雪の利尻岳である。この写真を眺め暮らしているうちに、利尻への思いが募ってい
たのかもしれない。
6月19・20日に予定されていた庚申山山行が不本意な理由で1週延期されたとき、突発
的・発作的に利尻熱ウィルスに取りつかれてしまった。
調べてみると、「花の礼文島」も最盛期を迎えようとしている。まさに「行くなら今」では
ないか。こんな唐突なプランに同行者などいるはずはないと思っていたから、ひとり黙々と
準備を進めた。
ところが、計画を連絡ボードに載せると同行者が2人も現われ、ほかに「日程の調整がつか
ず残念」という人も複数いた。利尻・礼文への思いは、私だけのものではなかったようだ。
そこで、次に行く人のために少々メモを残しておこうと思う。
山行記録? それは橋元リポート(たぶん花、花、花…だと思う)をお読みいただきたい。

1.日程は、3泊4日が最小限。
   今回は、1日目に利尻に入り、2日目に利尻岳登山、3日目に礼文島を周遊して4日目
   に帰ってくるというもの。どこをどうやり繰りしても、これ以上短くはならない。むし
   ろ、「スペアーにもう1日確保」が望ましい。
2.交通費も、これがギリギリ。
   初日は東京→札幌、札幌→利尻と飛行機を乗り継いだ。東京・札幌間の運賃が下がった
   ため、東京→稚内の直行便+フェリーより安くて早い。帰りは稚内→札幌を長距離バス
   にしてコストダウンをはかった(延々6時間かかるが、茹でたてのタラバでも買い込ん
   1杯やれば、目が覚めたころには行程の半分以上は消化している)。総額は、島内の
   バス代、タクシー代を含め約6万2000円。時間的要素を加味すれば、ギリギリの予
   算だろう。
   もっとも、団体観光客の群れを見ていて思いついたのだが、パックツアーの「中抜き」
   という手があるかもしれない。これがうまくいけば、宿賃込みで5万円かからない?
3.テントはいらない。
   1日目は利尻岳北麓野営場にテントを張る予定だったが、あいにくの冷たい雨(びし
   ょ濡れになって山から下りてきた一団のなかに、ひげ面の大男。上條恒彦だった)。
   予約以外はダメだと言う管理人をなだめすかして、バンガローを1つ確保した。
   これが大正解。畳敷きのベッドに寝具付きで4人用が2000円、実に快適だった
  (翌早朝、下山まで荷物を保管するためテントを張る羽目にはなったが……)。
   礼文島では香深井のキャンプ場で2晩幕営したが、船泊のキャンプ場には新築のバン
   ガローがあることが判明。こちらは5人用で3000円とか。寝具はないが、近くに
   町営の銭湯(サウナ付き380円。脱衣場には「上條恒彦コンサート」のポスター)
   がある。
4.嗜好品は持ち込みを。
   地元の商店に、期待してはいけない。最低限の食欲を満たすのに不自由はないが、
   どこの店にも、それ以上のものは置いていない。山頂で気のきいた小宴を張ろうと思
   ったら、リュックにエサを詰めて空輸することだ。
   また肉はもちろん、魚もほとんどは冷凍もので、地場の水産物は別ルートで流通して
   いるとしか思えない。そんなわけだから、新鮮な魚貝を口にしようと思ったら、漁師
   から直に仕入れるか、自分で採取するしかない。キャンプ場にたむろする(プータロ
   ーのような)連中も、そうしているようだ。ついでに、食堂はどこも観光客価格。
   ウニなどバカ高値で、食う気になれない。土地の人に、外食の習慣などないのだろう。
   もっとも、通りすがりの旅行者などにはうかがい知れない、豊穣な食生活が隠されて
   いるに違いないが……。
5.アツモリソウかウスユキソウか。
   礼文島では、ぜひ見たい花が2つあった。ともに頭に地名をいただく、レブンアツモ
   リソウとレブンウスユキソウである。詳細は橋元リポートの領分だが、ここで言いた
   いのは花期のこと。6月21日、アツモリソウにはかろうじて間に合った。厳重に監
   視された群生地の日当たりの悪い一隅に、ひそかに咲き残っていたからだ。
   一方、ウスユキソウには少し早かったようだ。「ようだ」というのは、人づてに聞い
   た話だから。バスの本数が少なく、ウスユキソウか、それとも3日ぶりのお風呂か選
   択を迫られた結果、やむなく後者を選んだというわけ。2つとも同時に堪能するには、
   周到な準備が必要、かと思われる。
6.利尻にはスキーの魅力も。
   今回の利尻岳登山には、「スキーで行ける山か見ておきたい」という下心もあった。
   結果は、「面白そう」である。時期は4月〜5月。1日目は、北麓野営場から10分
   ほど登った甘露泉水で幕営。この湧き水なら、年間を通じて涸れることはないだろう。
   2日目は、8合目鞍部の避難小屋(しっかり補修済み)泊り。3日目に頂上に登り、
   一気に滑り降りる。避難小屋から上は相当な斜度だが、小屋から下には雄大な滑降が
   待っている(に違いない)。
   八甲田のついでに、少し足を伸ばしてみては……?
                                                               以上

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