甲斐駒ケ岳を眼前に 日向山(1660m) 後藤 文明

Sun, 21 Feb 1999 14:55:50


平成11年2月20日(土曜日)
参加:田中 誠・後藤 文明


冬の静かな低山に雪踏みに行こう、さらに白銀輝く名山が展望できるようなところ。
山梨県北西部の白州町、日向山(1660m)は眼前に甲斐駒ケ岳を、背後には広大な山すそ
を広げる八ヶ岳南核心部の展望台である。
  
2人の乗った車が中央高速道路の高尾のあたりに差し掛かると、昨夜降った雪が山の木々
に着いて霧氷かとおもう景色に、今日の山行に胸おどる心地が高まる。
笹子トンネルを抜け甲府盆地に入ると、期待したとおり南アルプスの連陵が紺碧の空を
バックに神々しい輝きを見せていた。
午前10時まえ中央高速道路の長坂インターを降り、長坂町を抜けて白州町の中心白須へ
向かう、このあたりは静かな農村地帯で、釜無川沿いの低地であるのでどこからでも甲
斐駒ヶ岳が高々と望める。
ただしあまりにも間近なために黒戸山2254m(黒戸尾根上部、五合目手前)が前に立ちふ
さがり、駒ケ岳2966mは8合目あたりから上部だけが顔を見せている。
白須は竹宇駒ケ岳神社参道の入り口で、ということは駒ケ岳黒戸尾根登山道口でもある。
麓から頂上まで登り詰めで2200mという標高差のこの登山道は、いまやほとんどの登山
者が南西の北沢峠から駒津峰を経て頂上へ至る道筋にうばわれ、すたれてしまっている。

白須からの道は、竹宇の集落を過ぎようとするあたりで2分して神社への道を分け、右
の道は緩やかにカラマツ林の中を蛇行して登ってゆく。
道路は舗装されているが、林の中の暗いところは雪が残り凍てついていて、4WDの車
とは言っても気持ちが良くない。
この道は尾白川を左下に見る緩やかな尾根筋をグングン登ってゆく、日の光が明るく木
間に差込んで気持ちが良い、やがて舗装が切れたところが「日向山ハイキングコース」
の入り口である。
ここには5~6台の車が停めてあり、登山者の多いのは1週まえにNHKの小さな旅で
紹介された影響かと思う。
さらに進めば道は尾白川林道に通じ、終点は尾白川への下降点になっていて、黄蓮谷や
本谷へと向かったのは皆さん良く承知のとおりである。

登山道は「日向山ハイキングコース」となっているように、緩やかな登りが続き快適で
ある、が1時間ほど先からは雪も現われ凍っていて歩きずらく足が重い。
どんどん下山の人たちとすれ違う。
やがて笹の平にでるとあと15分の標識があり、冬枯れの林を過ぎると突然、目の前は広
い砂礫地となって急激に落ち込み、下のほうはどこまで落ち込んでいるのか判らない。
ここが「日向山」の頂上であった。

時間もすでに12時30分であり、甲斐駒にはガスがまつわりつき始めていたが、しばし頂
上付近が姿を現し、その間近に望む重厚な姿にしばし言葉もなく見とれてしまった。
背後の八ヶ岳といえば上部は吹雪きの中というように灰色の雲に覆われていた。
風も冷たく他に登山者も2名だけという寂しい山頂はほどほどに退散して笹の平に戻る
ことにした。
雪の中の笹を尻に、ホエーブスでおでんをあたためビールと燗酒で人心地がつく、コン
ロの音、風がおこす笹の音、何の鳥か時折チチというさえずり静かな静かな2人きりの
昼餉である。
やはり月に2・3度はのぼらなくちゃーなどと調子のよい会話。
下山は心配された凍てついた雪も解け始めていて、あまり苦労なく戻ることが出来た。
白州町へ戻り日野春へむかう、平地には春も近い暖かそうな陽が注いでいるが、振りか
えれば甲斐駒や鳳凰三山は雲に覆われて、まだまだ冬将軍は去っていないことを実感し
た。

あとは甲斐の名湯・ラジウム量東洋一「須玉の湯」なるところで入浴・休憩して帰路に。
田中さんと聖跡桜丘で別れたのは午後7時30分であった。  終わり

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