桐生郊外の山 根本山・熊鷹山 齋藤

Thu, 18 Feb 1999 00:13:25


桐生郊外の静かな山 根本山・熊鷹山 氷幕と展望を楽しむ

 今日は,午後の時間帯までとれる。そうなればすこし遠出をしてみたくなる。我が
家を出て加須・太田を経由し順調に桐生近くまでくる。気温が高いせいか展望が良く
ない。根本山に決めていたが,お尻の時間に余裕があるので,赤城も良いな等と考え
ているうちにうっかり走りすぎ,笠懸町というところまで来てしまった。すでに桐生
の分岐は通り越しているようだ。一般道を戻ることになる。どうにか122号線に乗れ
戻る。山並みを頼りに石鴨への道を探す。西桐生の駅前にコンビニがあったので,地
図を確認しに行く。ついでに用もたす(最近のコンビニはトイレを貸すようなったの
で便利,よく利用する)。

 詳細に地図で確認できたので,先に進む。吾妻山公園の横を通り,石鴨への道(桐
生田沼線)に乗る。まだ不安だか,快適な道に移る。だいぶウロウロしてしまった。
地図どおりまっすぐになっている。谷沿いを進んでいる。次第に人家も少なくなると
山肌を走るようになる。吉田ダムをこえると,ログハウス風の「吉田ふれあいセン
ター」があり目印となる。バスの終点は石鴨だが,その指示をする標識はほとんどな
い。ここを過ぎると道も心細くなる。桐生川に沿って車一台がやっと通れる山道にな
る。渓谷は美しいが,慎重な運転が必要である。

 山里の一軒旅館・釣り堀を兼ねたような蕎麦屋を通り越すとまもなく石鴨である。
民家が数軒ほどあるが他には何もない。バスはここまでである(桐生よりの村営おり
ひめバス)。
一層山の中にはいる。しばらくすると広い場所かある。ここから名草ダムへ向ける林
道が別れている。駐車スペースとして15台ほど可能。細野なってる方の川沿いの道を
進む。すぐに不死熊橋に着くことができる。車が回転できるような部分があり,3台
ほどは可能だが,駐車する場合は詰めて停めておきたい。

 やっと着いた。あたりを観察する。なかなか渓谷美が美しい。冬なので稜線づたい
の「中尾根コース」をとるつもりだったが,沢沿いの方が美しい(氷幕がありそう)よう
な気がしたので「沢コース」を登る事にした。ここまでの状況から,登山靴を履くまで
もないので軽登山靴をはく。身支度を整え出発する。

 沢コースといってもハイキングコースに指定されているほど整備されている。沢沿
いに道はついているが,滝は巻くようになっている。迷いそうに場所でも「ハイキン
グコース」という標識がつけられている。沢沿いに何度か沢を渡りながら,渓谷美を
楽しむことができる。冬というので,まわりの広葉樹がすべて落葉し,沢道ではある
が明るい。途中岩を重ね合わせ太径の番線でくくられた上を歩かされるが,ロープ等
も十分に着いているので安心できる。

 似たような景色の中をアップダウンするが,次第に滝が凍りついているようになっ
てきている。特に枝沢では,小規模ではあるがなかなか美しい氷幕が見られる。加え
て,所々にいろいろの形をした石柱がありコースであることを確認できる。大割沢と
いう標識があるところを過ぎると,魚止めの滝になる。完全に凍っていて美しい。滝
をこえると2基の石祠が右岸にある。この先を進むと右に曲がるように,渓谷が変化
する。

 全体的に主流を登るが,すべて右俣に入り込むルートがとられている。円柱や四角
注の石柱が多くなってくると,沢も次第に急になってくる。多少土砂が崩れた斜面
を,気をつけながら登ると石段になる。それをこえると,神社に導かれる標識があり
右俣を進む。急になるに連れルートが不明瞭になる部分があるが,踏み跡を頼りに沢
沿いを進む。このあたりになると,所々凍りついている部分が多くなり,枯れ葉が覆
いかぶっている所などは特に注意したい。

 初めて,左俣に入ると,傾斜が一層急になる。凍りついた滝の横に10メートルほど
の鉄製の梯子が付けられている。梯子を登ることは難無いが,その上が氷で覆われて
いる。どうしても氷の上を歩かなければならない。ホールドをしっかり確保し気を付
けて進む。そこを抜けると安定した道になるが,落ち葉が多く踏み跡を確認するのが
難しい。所々倒木や崩れているところもあるが,ロープ等も必要に付いているので信
頼しながら利用させていただく。

 道祖神のような石仏を見るようになると,右上方に根本神社の建物が見ることがで
きる。
左岸を戻るように道が付けられている(私は道が無くなったと思い,崖を登ってし
まった)。稜線には,鐘楼(傾いていて今にも倒れそうなもの)と素朴な本殿があっ
た。どちらにしても江戸時代の栄華はみじんも感じられない姿となっている。岩稜に
立つ神殿は信仰の山というイメージをかろうじて残している。しかし,誰が始めたの
が山岳会の名前と登頂者の名前をプレートにして釘打ちしている物が,多くあったが
不快に感じられる。

 意外と痩せた岩稜帯になる。後方には,袈裟丸・庚申方面の眺望がよい。少し登る
と男体山・日光白根が首を出してきた。雪も5cm程度付いており気持ちがよい。鎖場
も所々ある。自然林の中,高度を稼ぐことができる。すぐになだらかな稜線となり,
分岐点の峰の平に到着する。

 根本山の由来などがかかれている小ピークである。南方に踏み跡があるが,歩行で
きないようロープが張ってある。下りは鎖場になっているが使うほどではない。幹部
に出ると登り返すようになっている。「分岐」となっている標識がありピークを巻くよ
うな道が付いているが,高い方へ行く道を選択する。すぐにピークかと思うとそうで
はない,南の山肌を歩くようになると,中尾根コースからの道と合流する。三叉路に
なっており,ピークへ向かうと根本山,右へ行くと十二山方面へトラバースできるら
しい。

 当然ピークを目指す。自然林に囲まれたなかなか気持ちの良い穏やかな稜線であ
る。登り切ると根本山と思いきやまだ奥がある。稜線が続く。トラバース道と次第に
離れるので不安になるが,最後の登りを終えると素朴な「根本山」の標識がある。山頂
はそこそこ広いが,落葉しているとはいえ自然林に囲まれているため,眺望は限られ
る。夏場は全く見えないのだろう。次へ行く標識が全くないので,今後の行程を確認
すべく地図を開く。馬蹄形につながる山域なので,地形は読みとりやすい。東に踏み
跡があるので,これを頼りに行けば十二山方面に出られそうである。

 営林署境界の石柱を頼りに歩く,途中雪などで多少踏み跡を失うが,稜線に沿って
下りれば間違いない。ガイドによれば「すぐに合流」などと書かれている物もあるがだ
いぶ下りる。10程度でトラバース道がやっと右下に見えてくる。一人歩きにはほっと
する景色である。このまま稜線づたいにも踏み跡は続いているが,トラバース道に移
り南斜面を植林帯の境を歩く。程なく視界が開けると,十二山根本神社跡につく。今
は石祠と説明書きしかないが,朽ちかけている建物から想像すると10数年前はかなり
の物であったように思われる。ここから林道に下りる道があるというが,確認できな
かった。

 熊笹が足元を覆うようになる。樹木の下に隙間無く生えている。丹沢の山を思い起
こせる道がこれから先に続く。十二山手前に,氷室山・地蔵山に続く道との三叉路が
ある。「十二山」というプレートと共に,素朴な標識が付けられている。このあたりか
ら樹木に覆われているが,なかなか明るい自然林の中を歩くことができる。なんと
行っても千メートルは越えているので,枝越しから展望は得られる。なだらかな道を
行くとピークに登れる道も付いているが,何カ所かトライしたが樹木に覆われ展望は
快適ではない。

 我慢(そろそろのどが渇いてきた)してなだらかな登りを頑張れば,木製の今にも倒
れそうな櫓がある。熊鷹山山頂である。これまでの歩行で本当に展望がある物かと,
疑い始めていたが,見事に気持ちを晴らしてくれる眺望である。おそるおそる櫓に登
ると,完全なパノラマが待っていた。山頂もそこそこ快適だが,この櫓の上で儀式を
行う事を決意する。
 不安定な階段を上れば,一人で占有するには十分なスペースでる。今日はどういう
訳か妻がつまみになるようなパックを持たせてくれている。理由はともあれ(子供の
弁当の残り)ありがたい。袈裟丸方面に手を差し出し,乾杯をする。気温が上がって
しまったせいか,多少ガスが出できている。肉眼ではかなり,展望を楽しめるが,写
真になると雲の中になっているのであろうと思いながら,パノラマ写真を撮影する。
残念なのは赤城山方面が悪い。しかし,雲がかえって低山を雲海上に浮かび上がらし
ているような演出をしている。結構美しい。時々散弾銃のような音がこだましている
のが不気味ではある。

 なんと30分以上ものんびりしてしまった。実はこの後「鳴神山」も登ろうと思ってい
たのだか,この辺であきらめている。反対側へ下りると,すぐに素人が作ったような
鳥居をくぐる。三叉路になっており,立派な標識が付けられている。ここは,丸岩山
・野峰方面を選ぶ。笹が強く,多少踏み跡が弱まるが見失うほどではない。ガイドに
は標識があるというが,私は右に下りる明瞭な踏み跡を発見したので,地形上林道に
下りられると判断し下降する。 

 道は一応尾根筋についているので安心しておりられる。所々分岐があるが,稜線づ
たいに下りれば心配ない。急激に高度を下げ20分ほどで林道に出られる。最後,切り
通しになっているが探すと降り口がある。後は長い林道をとにかく不死熊橋まで,渓
流に沿いながら下りれば出発地点に出る。

 今日は余裕があるので,登りに発見した「梅田ふるさとセンター」に立ち寄ってみ
る。駐車場も広く,外部に清潔なトイレもある。中にはいると,土産やと食堂が併設
している。ましてもりうどんが360円,期待せず一番安いメニューを注文する。出て
きた物は,腰のある細めのうどんとほうれん草・白ゴマ・ネギ・わさびがのっている
もりうどん。加えて漬け物まで付いている。食べ終わる頃には,頃合いを見てそば湯
まで持ってきてくれる。汁はいまいちだが揚げたての天ぷら付きでも700円程度,座
敷もあり利用価値あり。

 その後,行きに迷子になったため発見した笠懸町の温泉施設(かたくりの湯)に行
き,入浴して気持ちの良い山行を終了した。熊鷹山の展望には大満足。


情報「かたくりの湯」
  あまり紹介されていないと思われますが,笠懸町の温泉施設。食堂が無い代わり持
ち込み自由・カラオケなしの休憩室が(20畳程)2室有り,のんびりとした雰囲気。露
天風呂はないが,こざっぱりとした清潔な中規模な浴槽がある。この近辺,春は桜の
名所らしい。
2時間まで500円(町民以外)。単純泉ですべすべしている。


平成11年2月16日(火)  齋藤 修
幸手6:20−加須・館林・太田・桐生−8:30不死熊橋8:40−(沢コース)−9:40根本神社
−峰の平−10:00根本山10:05−根本神社跡−三叉路(十二山)−11:00熊鷹山11:35−分
岐−林道−12:20不死熊橋,@吉田町ふれあいセンター12:40〜13:15(昼食)A笠懸
「しゅくなげの湯」13:45〜14:05(温泉入浴),足利(R50)・館林(R122)・加須(R125)
−15:30幸手

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