雪山気分を期待した秩父御岳山、送迎付きラクチン登山 亀村 通

Sun, 14 Feb 1999 18:23:59


日程:1999年2月13日
参加:大森・斎藤・亀村

2/20~21の苗場スキーに行けない代わりに今週末空いてますと「梓掲示板」にだしたところ大
森さんから俺も空いてると返事があった。それで急遽近場の山を日帰りでやろうかとなった。
折り良く11日には降雪があり、秩父や丹沢はちょっとした雪歩きが楽しめそうだ。
週一ペースの斎藤さんも第2第4土曜は学校が休みなので当然参加。ここの所週二ペースとなりだ
んだん加速度がついてきて心配だ。今回の山行記録まで斎藤さんに書かれたのでは梓のホームペ
ージが本当に斎藤さんのホームページになってしまうとの危機感から、私が記録を申し出た。
行き先は、秩父の御岳山とした。オンタケと読むそうな。
荒川源流をはさんで三峰山の北側、両神山からつらなる尾根の南端に位置する。
標高1081mで展望がきくという。
我が愛車オデッセイはここしばらく出番がなかったので、今回は出動を申し出る。
13日土曜日朝6時、まずは柏大森さん宅お迎え、続いて幸手斎藤さん宅へ。混雑のため予定より少
し遅れ7時15分頃の到着となる。
秩父方面への道はまかせてチョーダイの斎藤さんナビゲートで埼玉県を東西に横断し、秩父大滝村
落合部落への到着は9時30分。
数年前にできたという温泉付き道の駅に車を止め、9時45分いざ出発。風が冷たい。

落合集落中ごろに普寛神社という社があり、この鳥居手前から国道を右折し集落を抜けると沢づ
たいの登山口だ。実は、この普寛神社、この地に生まれた普寛行者を奉ったもので、この行者は
これから登る御岳山を開山した後に、修行を積みつつ山中を木曽まで達しあの御嶽山を開山した
との事なのだ。
つまり御嶽は、秩父が本家で木曽が分家という事になる。このことを我々は頂上で出会った御岳
講の男性から教えられることになる。それを知るまでこの山は木曽の御嶽山ののれん分けかミニ
チュア版だろう、大滝村も木曽の王滝村と通ずるところがあるし、などと話をしながら登ってい
たが、その逆だった訳だ。後藤さんご存知でした?
行きがけに、熊谷辺りから遠望した秩父の山々は、11日の降雪で見事に雪化粧し、そこそこの雪
道を楽しめそうに思われた。が、実際に山懐に入ってみるとそれほどの積雪ではない。拍子抜け
である。ことに登りは南斜面で、雪は期待できそうもない。雪の丹沢に未練のある大森さんは、
あきらめきれずにはじめからスパッツを装着している。
王滝沢伝いに、右に左に渡り返しながら登っていく。いいかげん登ったころにいつのまにか沢筋
から離れ、ベンチ一つのちょっとした展望台に出る。
歩き始めて1時間を過ぎた頃なので一休みとする。


斎藤さんは久しぶりに単独行じゃないのが嬉しくて、
のべつまくなし喋りつづける。それにつられてこちら
も口数が多くなり、足のほうがおろそかになりがちだ。
もっとも腰の病み上がりの私にはちょうど良いゆった
りペースだし、何より楽しい。
雪は相変わらず多くはないが、それでも整備された杉
の植林帯を抜けワラビ平という尾根鞍部に出てからは
そこそこの雪山の感じを楽しめる。
尾根に出たので展望が開け気持ちの良い雪道だ。
本日の核心である。頂上手前にちょっとした鎖場が
ありこれを登り切ると、小さいながらも立派な祠のある頂上に到達した。 11時45分着。丁度2時間、コースタイム通りである。
*
*


頂上は狭くなにやら騒がしい。7~8人の先客がいる。
一つの団体かと思ったら単独を含め3~4パーティーが頂上で出くわして歓談をしているようだ。
頂上に着くや否や、そのうちの一人のおばさんからハイご苦労さんと飴を振る舞われる。タオル
を頭に巻いたおにいさんが祠の前でにさかんに何か説明してる。坊さんかと思ったら大森さんが
御岳講の人であると言う。彼から件の木曽御嶽山の話を聞いたわけだ。
さすがに展望が良い。まずは北西方向間近に両神山(1723m)が雄大な姿を横たえている。右手に
は特徴的な二子山をはじめとした北秩父の山々が連なり、その奥に上州妙義の山々が重なる。
山越彼方には頂上こそ雲に隠れているが、真っ白な稜線の浅間も認められる。南側に目を転じれ
ば、もっとも目につくのが目の前に単独峰のごとくそびえる和名倉山(2036m)だ。
ここからの眺めは何とも魅力的な風貌だ。一度は登りたい山だなどと言い合うがアプローチ悪く
道も整備されていないらしい。
左手には三峰、雲取、さらには奥多摩の山々。さらに左には武甲山を中心とした奥武蔵の山並み
が望まれる。それにしてもさすが斎藤さん、秩父の山名にはめっぽう詳しい。指差しながらあれ
は何これは何と次々と同定していく。週一の成果がいかんなく発揮されたひとときだ。


そうこうするうちに、パーティー達は下山していき頂上は我々のものとなった。
さぁ、お楽しみタイムの始まりだ。ビールでの乾杯の後、まず斎藤さんがおでんを取り出しコー
ルマンで温める。私は関根さんのごとくクラコットにチーズを塗り付け赤ワインを引っ張り出す。
大森さんがおでんに赤ワインはちょっと、というと斎藤さんの水筒からちゃんとお神酒が出てき
て熱燗となる。斎藤さんお手製のスモークポークおよびチキンも飛び出し山頂の宴会はいつもの
通り大いに盛り上がる。最後にはこれも斎藤さん持参の白石にゅうめん丸もち入りを腹に収め、
私も大森さんも行きがけに買った昼食用のおにぎりまでは手が届かなかった。
気がつけば午後1時40分。登頂にかけたのと同じ時間を頂上で過ごした事になる。
平日一人で山頂に立つ事の多い斎藤さんは、ビールを飲んだりデジカメで撮ったり何やかやして
も、もって30分が最大限だという。そりゃそうだろう。

風もそんなになく、空気は冷たいものの日差しは暖か
く、からだの中は心地よい酔いに満たされている。
2時間たった。そろそろ下山とする。
登りとは逆方向へ下る。尾根伝いに三峰口に下り、駅
からバスかタクシーで朝オデッセイを駐車した大滝温
泉に戻ろうという魂胆だ。雪交じりの乾いた土を踏み
しめながら快調に下る。気温が低いので土がぬかるみ
にならず下りやすい。それほど急な下りでなく、時々
平行移動も交えるため距離は登りの1.5倍くらいある
が苦にならない。体が楽な分口数が増える。
秩父盆地とその間を縫う荒川源流が眼下に見える。
山頂を削り取られた武甲山が痛々しい。
しゃべり通し休みなし、1時間30分で国道140号に降り立つ。
三峰口駅に行くまでもなくタクシーの空車が拾えた。今日一日楽しんだ山を十数分でぐるっと戻
り、道の駅大滝温泉「遊湯館」に帰り着いた。3時20分。
温泉に駐車したんだから当然風呂だ。一人600円。荒川沿いに1階が桧風呂、地下1階が岩風呂と
なっている。桧風呂のほうが広くて気持ちがいい。ちょっとヌルっとしたナトリウム泉で舐める
と少ししょっぱい。
休憩室は飲食品持ち込み禁止と張り紙があるのであまり堂々とはできないが、ビールと昼の残り
のつまみを持ち込みささやかに本日の反省会をもよおす。
閉館の5時少し前に引き上げ帰途に就く。
帰りの車内、大森さんは後席で完全にご就寝。斎藤さんが助手席に座り、運転する私に一生懸命
話し掛けてくれるが時々途切れる。さぞや気持ちよい事だろう。
道路が少し混雑し7時過ぎに幸手到着。8時過ぎ柏到着。
それぞれ無事送り届け私も8時30分過ぎには野田自宅着。充実した1日であった。
経費一人2300円。また行きたい。

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