1998年11月15日(日)
朝6時(まだ薄暗く、時計の文字盤が読めないので正確ではない)、善さんと一緒に
三条の湯のテント場を出発する。勢力の強い高気圧のせいで快晴無風、初冬と思えぬ
ほど暖かい。三条の小屋裏から北天のタルに突き上げる道は、ただひたすらに登り一
辺倒。15分ほどで、汗がふきだしてくる。
今日は、まず飛竜に登り、正午には雲取山頂で富山、後藤の重鎮隊と合流しようとい
う計画。ルート時間で7時間の行程を、休憩を含め6時間でこなさなければならない
。ところが、北天のタルに着いたのが8時。10分しか詰まっていない。少々あせっ
た。
縦走路を西へ、飛竜をめざす。途中なん箇所も、崖のヘツリに新設された桟橋の立派
なこと。これには驚いた。基礎はコンクリート、鉄骨組で、分厚い板が太いボルトで
固定してある。この楽々道に助けられ、飛竜頂上が8時50分。縦走路から15分ほ
ど登った静かな頂で、富士の眺めがすばらしい。ここからは、かすかな踏み跡をたど
って東へ。やがて、いま来た縦走路に合流するはずだが、一筋縄ではいかない。へた
をすると、石楠花のヤブコギを強いられてしまう。
9時20分、北天のタルを通過。飛竜往復のルート時間2時間が、1時間20分。勝
算あり、だ。腰まで笹に覆われた道(立派な桟橋もいいが、これも何とかしてほしい
)を、三条ダルミめざしてピッチを上げる。
三条ダルミは、三条の湯から上がってきた道と、縦走路の合流点。オバサンやオジサ
ンたちの(必要以上に)にぎやかな集団に近づいていくと、何とその中から、ホッホ
ーという梓独特のコールが飛んできた。予定より1時間前に、予定より40分手前の
地点で合流したことになる。そしてこの瞬間、飛竜から三条ダルミの間がつながり、
善さんの奥秩父全山一気通貫が達成されたのである。オメデトー。
雲取山頂では、ビールとワインで陶然(富山さんはスケッチ)のひとときを過ごした
ことは、いうまでもない。