武尊沢 ―― 深夜、深山に啼鳥を聞く 橋元武雄

97年6月14日〜15日


97年06月14日(土) 曇り。
富山さんから電話。来週の火曜日17日から慈恵医大入院、24日手術の予定とのこと。
成功を祈る。

梓山行。武尊沢。
12時前に、大森、鈴木、亀村来宅。
デリカで出発。南浦和でチャウと合流。駅前で買い物。

関越を水上で降り、藤原湖の沿岸を通って宝台樹キャンプ場とスキー場(一度パラグラ
イダーで降下し、あやうく追突しそうになったリフトがある)を経由、武尊神社。神社
の直下に裏見の滝があるらしい。ここでゲートがあるが、門柱を引き抜けば通過できる。
さらに進んで水源となっている沢の近くの駐車スペースに幕営。幕営した場所のすぐ先
に本当のゲートがあったが、これも形式的なものでロックはされていない。車は神社前
に戻す。

最近めっきり酒量が減り、酒は余ったが、多すぎると思われた食料は完全に平らげた。
大森いわく、“ゆゆしき”事態。九時には就寝す。

深夜、ブッポウソウ(正体はコノハズク)、トラツグミ(別名ヌエ。“ヒイイ、ヒヨオ”
と薄気味悪い)、ヨタカ(“キョッ、キョッ、…………”とこちらは夜中というのにけ
たたましい)など、深山ならではの野鳥の鳴き声の競演。

97年06月15日(日) 曇り。
睡眠十分で七時半頃出発。延々と林道、登山道を歩き、武尊沢出合い。
ここから水も景色も汚れた薄汚い沢が始まる。水の汚れはすぐ上部に雪渓が残っていた
せい。前途不安。雪渓の一つは冷や冷やしながら下部をくぐり抜け、もうひとつは乗っ
越す。

雪渓が終わると沢はやや広闊となり、やっと沢登りの雰囲気がでる。チャウと亀ちゃん
のためにザイルは二度出したが、いずれも簡単な滝である。

最後、ガイドに“奈落の底のように暗い”と記述のある場所は、結構広々と開けていて
さしたる圧迫感はない。その前にいくつかあるはずの滝も、崩壊してしまったのかまっ
たく姿を見せなかった(大森氏によれば20年前の資料だという)。最後の草付きとやぶ
漕ぎも難なく登山道へ出る。簡単な沢だったが、年のせいかいやにばてて、バランスも
悪かった。山頂へはそこから200メートルばかりか、ほんのわずかの距離だったがば
てた体には応えた。

山頂は込んでいたので、帰路を少し下り登山道をそれた雪田で昼食。フランスパンにチ
ーズや野菜、それにビールとワイン。雪の反射のせいか、山頂には沢山いた虫も少なく
気分よく昼食をとれた。下りは酔いのせいばかりではないおぼつかない足どりで下山。
かろうじて車へたどり着いた。

大穴の500円の温泉でみんなが湯を浴びる間昼寝。ここちよく、疲労回復。沼田インタ
ーの近くの豚カツ屋『とみた』で夕食。あとはカメちゃんの運転にまかせ白河夜船。
目覚めてナイターのスイッチを入れると、巨人広島は逆転で巨人リード、そのまま行け
ばよいものをまた逆転されて絶体絶命。途中南浦和でチャウを下ろして、9時前に帰宅。
さらに、三度の逆転で巨人が勝った。大森氏に今夜のスポーツニュースの楽しみはない。
イッヒ…………。

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