富士山雪上訓練

高橋尚介     '84/12/22〜23


 ラジオで冬の気圧配置を報じている。富士山はさぞかし寒いだろうなと思いながら家を出る。午前中は仕事をかたずけて、午後3時30分に集合場所である丸ビル前に到着する。丁度鈴木さんも到着、明治屋で加茂鶴の一升ビンを買い入れて、田中さんの車で中央高速を一路河口湖に向かう。車はすいていて、順調に走って、予定通り1時間半で河口湖畔に着く。セブン・イレブンで今夜の晩飯の材料を仕入れて、滝沢林道に入る。思ったより雪が少なく、ひょっとすると5合目佐藤小屋まで車が入るのではないかと期待させた。3合目辺りで雪と氷で前進できなくなってしまった。そこで車を捨てて、歩きとなる。錯覚しており、もう5合目のすぐそばまで車が上がってきたものとばかり考えていたが、どうしてどうしてタップリ2時間ばかりアルバイトさせてもらった。途中まで一緒に歩いていた鈴木さんからも徐々に引き離され、車から遅れて出発した田中さんにも追い付かれるのではないかと懸命に歩く。ようやく佐藤小屋の灯が見え内心ホッとする。小屋では鈴木さんがストーブの前で缶ビールを飲んでいた。半分もらって一気に飲み乾す。しばらくして田中さんも到着して、遅い夕飯となる。加茂鶴の熱燗が五臓六腑にしみわたる。田中さんの手抜きの食当もすばやく用意ができ、こんな時には有り難いものだ。いい気分になってきた時、オヤジがそろそろ消灯するので、あとはランプにしていいかと問う。時間も遅いので、ベッドに羽 毛服を着たまま潜り込む。(23時45分)
 12月23日(日)曇。
 6時半起床。一時間の寝坊となってしまった。早速朝食の準備にかかる。メニューは雑煮うどん。7時頃準備ができて、まだ寝ている田中さんを起こしてもらって、やはり遅い朝食をとる。外気温はマイナス12度とそれほど寒くはないが、ガスがかかっているうえ、雪が舞っている。オヤジは上は晴れているとのたまうが、昨晩車を捨てたところまでの時間を考えると、早めに下りなくてはなるまい。出発が遅く、下山が早いとなるとそれほどの時間もない。スバル・ラインの駐車場の近くにゲレンデを見つけ、雪とたわむれる。訓練の対象となる亀さんが今回急に不参加となって、気が抜けてしまったのだろうか、訓練に身が入らない。適当に訓練を切り上げて、小屋に引き上げる(11時)。早めの昼食を摂って下りる。約1時間で車のところまで下った。車をUターンすることができず、バックのまま、しばらく走る。ようやくUターンして凍った道をゆっくり慎重に下る。途中ウトウトしてしまって、気がついたときは河口湖インター近くのガソリンスタンドだった。高速道路も順調に流れ、思ったより早く都心に着いた。日本橋で田中さんの車を降り、地下鉄に乗り換える。なんとなく締まらない冬山訓練だった。

参加:鈴木(L)、田中、高橋
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