尾ノ内沢キギノ沢遡行〜両神山

田中 誠     '84/10/13〜14


 天候不良のため前夜まで出発をためらっていたが、結局、集まるだけは集まろうということで、10月13日午前7時30分南浦和駅に集合する。心配していた天気は良好。  橋元さんの車で出発。途中買物、昼食などしながら、のんびりと秩父へ向かう。午前11時30分尾ノ内沢出発。車をパークし、神社の境内を抜けて、尾ノ内沢沿いの登山道を行く。この登山道は現在は廃道になっているとかで、ところどころ道が崩壊し、あまり快適ではない。道端に落ちているクリなど拾いながら、ゆっくりしたペースでキギノ沢出合いに着いたのは午後1時15分。ここで登山道とわかれる。まあゆっくりということで今日はここでビバーク。早速テントを設営し、ビールで乾杯。そのあとすることもないので酒盛りが続く。夕食は橋元さんのトン汁。中国野菜のタアサイとかがたいへんおいしかった。
 翌日はチョット寝坊したので出発は7時30分。天気は快晴。
 キギノ沢は、全体に傾斜がきつく、幕営地は全くないわけではないが、捜すのがたいへんである。核心部は2つのゴルジュ帯。第一のゴルジュ帯は、ほとんど高巻の連続である。
 出合いから40分で第二ゴルジュ帯を過ぎ二股に達する。右股に入り、しばらく行くと第二ゴルジュ帯の入口だ。幅の狭い最初のゴルジュ帯は右側の奥壁にぶつかる直前から左におれ、高巻く。続くゴルジュ帯はやはり右から高巻くが、枝尾根経由の大高巻きとなる。
枝尾根より眺めたゴルジュ内は、幅こそ3m足らずだが、高度差は80mくらいの垂壁となっており、直登は相当困難だろう。この高巻きの下降ルートがわからず、ここで初めてザイルを使用しての下降となる。下降後30分ほどの遡行で第二ゴルジュ帯も終わり、このあとは傾斜の強いゴーロ状に点在する滝を全て直登する。
 こういうメンバーだと、四人が四人とも好き勝手なルートを取るから順番待ちがなく、随分時間の節約になる(キギノ沢出合いから第二ゴルジュ帯を突破するまで所要3時間)。ツメはやぶこぎはないが不安定で急峻なガレ場となっている。約30分ほどで八丁尾根(一般登山道)に出る。尾根道を左へ20分たどると両神山山頂だ。
 両神山山頂までピストンし、八丁峠経由で坂本へ下る。八丁尾根は距離はたいしてないが、登下降の高度差が大きく、なかなかたいへんだった。
 遡行を終えての印象。ガイドブック(草文社刊、東京周辺の沢)には水量が少ないので登山靴でも可とあるが、私はワラジをすすめる。今回、橋元さんのみガントレで挑戦したが、水ゴケが多くてすべりやすく、非常に登りにくそうだった。第一、第二ゴルジュ帯を含めて悪場の連続で飽きることはないが、沢が暗く、美しさにやや欠けるのではないだろうか。

1984年10月13日〜14日
メンバー:橋元(CL)、鈴木、高橋、田中
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