南アルプス塩見岳縦走「白籏史朗評判記」

                       鈴木善三 '81/12/31

                                   Photo by Zenzo Suzuki



 塩見岳にて

■1981年(S56)12月28日〜31日  12月28日家を出る迄は随分迷ったが意を決して出てきた、新宿23:45発の夜行に関根さ んにふられて1人でさみしく乗ることになった。  電車は意外とすいている、今時山に入る人は少ないのかな、この分だとゆっくり眠れそ うだ。

12月29日朝6:09分 伊那大島、連絡している小さなバスに乗る、整備きれたきれいな道 を小1時間走って梨原7:05すぐ歩き始める、樺沢7:40、塩川8:30。  正月は例年塩川迄バスが入るが今年は道路工事で梨原止めになってしまったので1時間 半も余計に歩かされてしまった。塩川の手前でザックを満載した小さなトラックに追越さ れる。後で聞くとバス停にきたトラックに登山者が1つ200円で塩川迄頼んだらしい、重い 荷物を1時間以上も損した。  塩川では登りらしき人は見当らず昨日下って来て泊ったらしい人が2,3人居るだけでさ みしさを感じる。  店が開いていたのでみそ汁を取って腹拵えをしていると登る人がちらほら見え始めた。  9時 塩川を出る、空は暗く今にも降り出しそうだ。1時間位い歩いた頃からみぞれが降 り始めた、この登りも随分と急いだ、すぐ息切れがする。足が重くなかなか進まない、2時 間位い歩いた頃、前を歩いている人を見付けたがなかなか追越せない。彼も追越されまい としている様だがむきになってやっと追越す。

案内書に行程5時間とあっだが地図を見ると近く感じたので、3時間も歩けば着くと思っ たがなかなか着かない。暫く歩くと道が平坦になってきた。もう小屋も近いぞ……  ああやっと着いた12:05、三伏小屋迄3塒間50分、含日は疲れた。 空は益々暗く降りも激しくなり風もかなり出てきた。  小屋のおやじが出てきて、 おやじ「このノートに住所と名前を書いてくれ」  私 「これ登山届け…?」 おやじ「これから先塩見小屋迄の間テントを張るのは禁止されているから其処に張ってく     れ」  私 「案内書に樹林帯に張れると書いてあったよ」 おやじ「白籏史朗の本だろ、奴も近頃は偉くなってよ先生様だがこの近所の人は皆んな迷     惑してるんだ」  私 「それでは塩見小屋迄行くよ」 おやじ「天気も悪いし時問も遅くなるし許可するわけにはいかないよ」  と指導員の腕章を見せながら言う。 おやじ「テント代2日分払ってくれ、明日張らなければ返すからよ。」  私 「とにかく一休みするよ」  変な遣り取りがあり、小屋に入ってお茶など飲みながら話しているうちにテントも面倒  になり、小屋泊りにする。1泊2000円。

12月30日起床 4:30空は満天の星、快晴だ。  コンロにガスを入れようとしたが栓が開かない、今月5日那須に行った時メタを忘れてロ ーソクでプレヒートした時の蝋が栓にこびりついてどうしてもだめだ。でもラーメンを作 る事ができた。  5:50、隣に寝ていた栃木の人と一緒に小屋を出る、たまには朝早く歩くのも気持のいい ものだ。  本谷山6:45〜7:00、本谷山で休んでいる時、陽が塩見岳の肩から出てきた。本谷山から 今迄前を歩いていた人、昨日追越した人も一緒に3人で歩き始めたが2人が急に早くなり一 緒について歩けない。30分位い行くと2人が休んでいた、また3人一緒になる。  権右衛門山の下7:45〜8:00、此処はテント場に最高だ。


  本谷山付近から塩見岳

 塩見小屋

  三伏峠の少し先から

 塩見岳から

 塩見岳山頂にて

 塩見岳からの間ノ岳 農鳥岳

塩見小屋8:25、写真など撮って8:45、アイゼンを付けて出発、塩見岳9:40〜10:20。  塩見の山頂は2,3人の人しか立てない狭い所だ、天気もよく風も無い穏やかな山頂はすば らしい展望に恵まれた。栃木の人はもう少し居るとの事で2人で 下る。  権右衛門山の下11:05〜11:20、本谷山12:15〜12:25、三伏小屋13:05、  小屋で食事をし、今日は下れる所迄行くつもりでいると、塩見で遊んでいた人が来て一 緒に行くとの事で彼を待って三伏小屋を出る。14:15。  昨日は下の方は雨だったのかアイスバーンに変わっている、アイゼンを付ける。彼も疲 れが出てきたのか足元があやしい、何度も転んだり躓いたりする、時々休みを入れやっと 塩川につく、もう薄暗くなってきた。16:15〜16:30、  樺沢小屋で又休む、彼に歩けるか聞くと大丈夫との事で、それでは梨原迄歩こうともう 暗くなった道を歩き出す。しばらく歩くと彼も元気を取りもどした、彼も若い。  鹿塩迄行って風呂に入ろうと言う事になり、とばして18:15、鹿塩の宿に着く。  名も知らぬ2人が同じ宿の湯につかり鹿の肉のサシミで盃をかたむけ、語り合って床に つく。22:00.  何だか慌ただしい今回の山行であった。            (81,12,28-31)

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