脱兎のごとくー飯豊連峰縦走

鈴木善三     '83/05/04〜07


メンバー:田中、鈴木

 冨山さんが体調悪く参加出来ず田中さんと2人となる.
初めの予定は西穂から奥穂の縦走だったが、何故か飯豊に変わった。
上野駅で電車の出る5分位前になるまで田中さんが現われず心配させられる。米沢駅で2時間半の待合せで米坂線に乗り換え、小国駅へ7時9分、7時39分のバスで梅花皮荘に入る、入山者は20人位い居る。  梅花皮荘には50人程の下山者がバスを特っている、スキーを持った登山者が多い、他の山では見ない銃を持ったパーティーにも出合う。  梅花皮荘の水槽に40cm程もある岩魚が居て驚かされる、何処かで誰かが指位いのを釣った事を思い出させられる。
 梅花皮荘を出ていきなり道を間違える、すぐ引返しツリ橋を対岸に渡る。50分程歩くと上高地の小梨平の様な所に出たので一休み入れ、10分も行くと飯豊山荘に着いてしまった。
飯豊山荘付近から雪道となる、温身平はぶなの巨木の林立するとても広くて気持のいいところだ。温身平から1時間程で梅花皮沢の雪渓に降りた、いよいよ雪渓の登りだ。
 少し上の方に台地があるので入門内沢の出合いではと地図を見るが時間的に早過ぎる、やはり滝沢の出合いであった。それから1時間で入門内沢出合いに出た、ものすごく広い出合いだ、幅は300m程もあ
ると思われる。
 地図には稜線迄3時間半とか4時間と書いてあるが2時間もあれば行ける様に思う、時計は1時半だ、田中さんと相談し急ぐ旅でもないし夜行のつかれも出て来たのでテン張ってのんびりとくつろぐ事にする、広い雪渓の真中にテントを張るととても壮快な気分だ。

5月6日5時15分出発、天気快晴、
 暫くは援い傾斜で距離も随分と稼げる、1時間程歩いた頃から傾斜もきつくなり稜線がなかなか近づかず、7時半には着くと思った梅花皮小屋に出たのは8時になっていた。梅花皮小屋から烏帽子岳はなんなく着いてしまった。春霞の様なものを感じながらも天気はよく朝日連峰が微かに見える。
 御西小屋も少し前方に見える、しかし御西小屋は非常に遠かった、稜線の散歩と洒落ている内はよかったが御西小屋がなかなか近づかずそんな余裕も無くなり、その内に着くだろう、もう着くだろうと歩き続け、2時間半も掛って御西小屋に着く。
 小屋には飯豊から来た3人パーティが居たが一言二言言葉を交わしただけで2人共へたりこんでしまった。
 「大日岳どうする」
 「俺はいい」
 「俺もいい」
 2人共そんな元気は無くなっている。でもまだ1時前なので又飯豊山に向って歩く。飯豊山にはすぐ着いてしまった。山頂小屋
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はゴミの山でとても汚なく時間も早い事なので切合小屋迄行く事にする。 飯豊山頂小屋を出ると天気が崩れだしガスも出てきた、石仏の在る所で田中さんが疲れた、休みを入れる。
 御西小屋から切合小屋はすぐ近くに見えたがなかなか着かない、3時半頃だったろうか?登山道が雪渓で見えなくなった所に出た、右側はブッシュ、左側は雪渓で広く何も見えない。 ブッシュ添いに行けばすぐ登山遺に出ると思ったのが大きな間違いであった。登山道を求めてどのくらい下っただろうか、道は全然見当らず田中さんに休んでもらってなおも注意しながらさがすがわからない。
 ガスが切れて下の方が見えた、下は絶壁になっていて雪渓はズタズタだ、ブツシュとピッケルを頼りにやっと田中さんの所に戻り、とにかく最初に間違った所迄引返す事にする、もう疲れてきた。道がわからなければ少し戻った所にテントを張る事を相談し、もう一度さがす。登山道はどうも左の方にのびているようだ、少し行くと赤布があった、また少し行く、また赤布がある、さらに行くと急に下っている。先は見えないがどうも踏跡らしく思い田中さんの所まで戻り、行ってみることにする。10分か15分位い行くと切合小屋に出た、結局1時間位い雪渓でさまよっていた、雨とガスのなか小屋にとび込み中にテントを張りやっと落着く。

 5月7日・夜中ずっと雨と風の音がすごか
ったので今日は停滞かと外に出るとそれ程でもない、どうしたものか迷う、昨夜はしょっぱい食事でのどを通らなかったがおじやにし朝食とする、丁度よい。8時過ぎ迄迷ったが天気の回復は望めそうも無く、明日も悪いと帰れなく成るとの判断で行ける所迄行く事にし小屋を出る。
 歩き初めて15分もしないうちにルートがわからなく成り右に行ったり左に行ったり、踏跡を見つけて行ってみると無く成っていて今日は駄目だと思った時ガスが切れてとなりの稜線に小屋が見えた。三国小屋だ又間違ってしまった、30分位いさまよったのかな?
 三国小屋はピークいっぱいに建てられた小さなきれいな小屋だ、小屋を出てすぐ岩場のやせ尾根を下る、ぬれているし随分緊張させられる。
 三国小屋から相当下ると登りになり、広い台地に出た、地蔵山だ、ルートは右の方向に折れて伸びている、天気も少しずつ回復に向かっている様だ、時々日が差す様になる。長くいやらしい下りを一気に降りて御沢小屋に出る。
 飯豊鉱泉では期待に反してつまらない小きな風呂に田中さんとかわるがわる入る。鉱泉の親爺に日本山岳会宛の手紙をあずかり、車で喜多方に出る。
 しかし何故今日帰らなければならないのだ、あと1日たっぷりと時間はあるのだ。途中汽車の中でもっと楽しむ方法があったのではないか、田中、鈴木と2人で行くとどうも先を急ぎ過ぎ、味のある山行が出来な
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いと話し合う。

行程  5月4日
     上野駅 22:19急行津軽
     5月5日
     小国駅 7:39-7:50
     梅花皮荘 8:40-9:O0
     温身平 10:50-11:OO
     滝沢出合の下 12:10-12:40
     入門内沢出合 -13:30泊り
     5月6日
     入門内沢出合
           5:15-
     梅花皮小屋 8:OO-8:30
     烏帽子岳 9:15-9:30
     御西小屋 11:50-12:45
     駒形山 13:30-13=45
     飯豊山 13:30-13:45
     飯豊頂上小屋 14:10-14:30
     切合小屋 -16:45
     5月7日
     切合小屋 8:45-
     三国小屋 10:10-10:20
     横峰小屋跡 11:20-11:30
     御沢小屋 12:40-
     飯豊鉱泉 13:O0一14:10
     喜多方 15:OO-15:25
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