久々の本格的ラッセルー庚申山〜皇海山

高橋尚介     '83/03/19〜21


メンバー:鈴木 田中 高橋

3月19日
 8:00柏駅東口発、東北目動車道・宇都宮ICから日光バイパス、日光街道をへて足尾に入る。通洞駅前で買い出しを終えて銀山平にむかう。銀山平から車両通行禁止ときいていたが、もう少し奥まで入れるとのことで10分程上がったところまで入る。橋の手前で車を置き歩きはじめる。〔12:OO〕
 道の崩壊復旧の為の工事現場を過ぎると雪が積もっているが、積雪量は大したことはない。まもなく鹿5〜6頭が我々の足音におどろいて逃げる、ピーピーと鹿の鳴く声があちこちから聞こえてくる。途中で鹿の死体が横たわっているのを見たが、まわりには動物の足あとが乱れており襲われたらしい、熊か山犬か不明。その後もいたるところで鹿を見かける。
 一の鳥居に13:00頃つく、軽く昼食をとり庚申山荘にむかう。徐々に積雪量がふえワカンをつけようかと迷うが先人のトレースがあるためツボ足で通す、時間が予想以上にかかる、庚申山荘手前でトレースが消えワカンをつけるがそこから20分程で山荘についた。〔15:OO〕
 今日中にとても庚申山頂まで登れそうにないのでテントサイトをさがすが、山荘が解放されていたのでこれを利用する。冬の日暮は早い、早速夜の宴会を始める、部屋が広いので寒々としているが濡れないだけでも贅沢はいえない。近くの水場を利用したので雪をとかす苦労もなく、燃料の

節約となる、水汲み役はもっぱら鈴木氏。

3月20日
 7:40発,昨日鈴木氏に岸壁基部まではラツセルをしておいてもらっているので楽に進めたが、そこからラッセルが続く、大きな氷柱のうらを通って左に左に基部をまわり込んでいく、途中道がわからなくなったがそこから岩場にとりつき再び左にまわり込む。ハシゴ・くさり等は雪の中でコルからまわり込むところはザイルで確保する。(下りのときは雪が融けクサリが出ていて何というところではなかったが)深い雪のためラッセルはきつく、時間ばかりがたっていく、急坂のところは胸までもぐりながら悪戦苦闘。
 後から4人連が追いついてくるが先に行こうとしない、あきらかにラッセルドロボー、庚申山頂で先に行くようにうながすと、やおらワカンをつけはじめる始末、更にワカンのつけかたが分からないなどとほざいている。知ったことか!
 彼等が先に行くのを待ったため30分もロスしてしまった。やがて我々も腰をあげ彼等のトレースを追う、5分もしないところで1人がワカンをつけなおしていた、更に5分もいくと見晴しの良いところにでる。ここからは皇海山が目のまえに広がる、先行組はそこで昼食をとっていた。
 ここを今夜のテントサイトにきめ空身で皇海へのルートを行けるところまでいくことにする、まだ彼等は動こうともしない、きついラッセルを続け鋸11峰の第3峰まで達して
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時間の関係もあり引き帰すことにする。記念写真をとったりして戻ろうとしているところへ彼等が追いついた、
「あれ、もう先には行かないのですか」ととぼけてきいてくる、
「皇海までガンバッテネ」ときりかえすと、
「もちろん行きますヨ」
こんな会話を交してわかれる・テント場までの登りかえしはまことにきつかった。
夜は風きつく星がよく見える、田中・鈴木両氏の星座の講義を受け、楽しき酒宴。



















3月21目
テントを撤収して下山、深雪で皇海まで行けず残念ではあっだが、久々の本格的ラッセルの経験に満足して下る。途中雪が降り一の鳥居あたりでは雨に変る、数人の登山者に出会つたが総じて静かな雪山であった。

雪の状態 庚申山    1m程度
        同上〜鋸山 2m程度
        皇海山    2m程度






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