季節はずれの雨の中でー谷川岳雪洞訓練

高橋尚介     '82/02/19〜21


メンバー:冨山、鈴木、田中、高橋

 雨がしょぼふる昭和57年2月19日夜、田中さんの車で丸ビル前を後にする。
 厳冬期の2月にもかかわらず、生暖かく異常な天候に不安を抱く。雨はとうとう土合に着くまで続き、みぞれまじりに変わったものの降りやまず。
 予想以上にはやくローブウエー下の駐車場に車を入れられた。車中にてアルコールで唇を湿らせ、仮眠。
 8時半頃眼をさましたが、相変らず雨が降っており、天候の回復を特っことにする。
 11時頃になってようやく晴間がのぞきはじめ、行動開始。西黒尾根鉄塔までは、薄日もさし、汗が流れる。このまま回復するかと思えば、再び雨に変わる。鉄塔から40分も歩いた頃、ようやく雪洞が掘れる雪量となり、樹林帯の上部に適地を見つける。雪洞がすでに掘った跡があったが、天井が下って、修復をあきらめ、近くを堀り始める。積雪量は5m程度の下部を堀り始めたため、雪の締まりが良く、まるで氷を削るような具合。途中までスノーソウとエンピでブロックを切り出していたが、作業が進まずピッケルに切り変える。入口通路1m、奥行1.5m、幅2.5mの雪洞を堀り終えたのは5時半で実に4時間もかかってしまった。これま
での最長記録である。作業時にオーバーズボン、ヤッケ等をつけなかったため、上着、ニッカーとも濡れ、あと寒さにふるえた。
夜は長く、食当の田中さんがつくってくれた水炊きをつつきながら、熱カン、ウイスキーの湯割で暖をとる。洞の中は壁のローソクで明るく、朝まで灯りつづけた。
 翌朝は朝日がさし込んで起床。6時40分である。オジヤを流し込んで、荷をまとめる。空荷でガレ沢の頭まで散策。白毛門、朝日の眺めがすばらしい。左手天神平をみて、高度が低いのにがっかりしたりする。くだりは早いが鉄塔から下部は軟雪で思いの外苦労させられる。
 今回は異常気温による雨で、スッキリした訓練とはいえなかったが、雪洞の1夜はナカナカ快適であった。

2月19日(金)
  23:10丸ビル前出発
20日(土)
  3:10土合ローブウェー駐車場着〜11:40
  発鉄塔12:30〜12:40ビバーク地点13:30
  4時間の雪ほり
21日(日)
  9:40発ガレ沢の頭10:50〜11:00駐車場
  12:00〜12:40池袋着18:10
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