中村貞子 '09/5/6

                                  Photo by Zenzo Suzuki
                                     & Teiko Nakamura



 雲取山山頂

2009年5月2日〜3日 参加:鈴木、高橋、大森、中村

■5月2日(土) 快晴 東日原9:15―稲村岩手前10:00―鷹ノ巣山13:45―鷹ノ巣避難小屋15:20  7月の大雪〜トムラウシ縦走にそなえ、少し重荷を担いでしっかり歩いてみようという 大森さんの提案でひさびさの幕営山行が実現した。

 西国分寺7時9分発の青梅行き1両目で柏組と落ち合い、奥多摩駅8時28分着。さす が連休とあって、電車はこみあっていた。東日原までのバスも臨時が2本追加され、計3 台で出発。正規バスはかなりこみあっていたようだが、臨時にバラバラに乗った大森さん と私はさいわいにして、座ることが出来た。途中、川乗橋でだいぶ下車。


 釣鐘型の稲村岩(N)

 日原川を渡り登りかえす(N)

 ここで沢筋とわかれる(N)

 稲村岩を経て鷹ノ巣山までひたすら登る(N)

 東日原9時15分、登山開始。バス停から少し歩いたところに鷹ノ巣山登山口の標識が あり、狭い階段を下りて日原川に下る。登山口からは釣鐘型の稲村岩がよくみえたが、下 ってしまうと、この岩を巻いてしまうので、歩き始めると岩はもう見えない。  沢にでるとすぐに急登が始まる。地図上では短い距離なのに、コースタイムが長いので 覚悟はしていたけど、登り一途である。ひたすら登る。周囲は萌え出たばかりの新緑と、 数種類あると思われる山桜が満開。登山道には桜の花びらが点々と散って、なかなかの風 情である。まだ地べたの花々はあまりなくて、ヒトリシズカと、ニオイスミレがひっそり と咲いている。  50分ほど歩き、稲村岩よりも手前で1本立てる。ここまでは順調だったが、そのあと は尚やんが少しずつ遅れはじめる。古傷の足首が痛みだしたようだ。2本目の休憩で、荷 物をすこしわける。


 萌え出たばかりの新緑・山桜も真っ盛り(N)

 一本立てましょう(N)

 ちょっと腹ごしらえ(Z)

 尚介さんは一足おさきに(Z)

 そのあとも、急な登りが続いて、やっと鷹ノ巣頂上に着いたのは14時15分前。尚や んは14時30分頃到着。今日の目標だった雲取山荘はとうに無理とわかっていたが、せ めて奥多摩小屋というのもむずかしい時間帯になってきた。七ツ石泊まりになるかという ところだったが、頂上から30分ほど下った鷹ノ巣避難小屋につくと、近辺にテントが数 張設置されている。ここはテント場ではないはずだが、状況からして水さえあればここで テントを張ろうということになり、善さんが水場を確認して問題ないということでここに 停滞となる。鷹ノ巣頂上までの最後の登りがかなりきつかったので、残りメンバーも内心 ほっ??

 りっぱなテーブルとベンチのセットもあるので、まずお疲れのビールで乾杯をしてから テントをたてる。周囲のテントは単独もいるが、子供連れもいる。避難小屋にも子供連れ がいるようだ。この小屋は昔懐かしい冨山さんの「首絞めて殺すぞ事件」の時の小屋だが、 かつての趣はまったくなくなっていた。新しくて、りっぱなログハウス風の小屋に変身し ている。テントをたてたら、あとは宴会に突入するしかない。尚やん持参の豚の角煮、わ さびの醤油煮などをつまみにひさびさの急登にあえいだ喉をビールで潤す。


 鷹ノ巣山頂上(N)

 広い山頂(N)

 りっぱなテーブルとベンチ(N)

 ログハウス風の鷹ノ巣小屋(N)

 今夜は私が食当なのでつまみの炒め物や、ご飯を温めるお湯をつくるため善さんに火を お願いしたところで、ちょっとしたハプニング。コールマンをポンプアップしていた善さ んの手が燃えている。燃料の白ガスを入れすぎたのか、ポンプから逆流してあふれ、それ が善さんの手について火が移ってしまったのだ。すばやく振り払って事なきをえたが、異 常乾燥注意報の中、コンロが燃え上がったのにはひやりとした。とりあえず火を消し、燃 料を減らしてやり直す。その後は順調に調理できて、善さんの手も表面の白ガスが燃えた だけでやけどに至らず、無事であった。

 つまみとして、海苔とアボカドの刺身、スナップエンドウのおかか炒めを考えていたが、 この日にちょうどよい熟れ具合にと思って持ってきたアボカドはまだ硬くて食べられなか ったのは誤算であった。スナップエンドウはごま油で炒め、おかかと醤油で味付け。メイ ンはシャケ酢飯と豚汁である。酢飯の素を初めて使ってみたが、けっこういける。サトウ のごはんがちょっとべたつくのはいたしかたなし。  今回は本番を想定してビールのほかはウィスキーのみだったが、担当以外にも持ち込む 人がいて、ビールは多めにあったのが早めの宴会にはさいわいした。ご飯パック4個は多 すぎたかと思ったが、さいわいシャケ酢飯は好評で完食。急ピッチでできあがり、宴会を 珍しげにのぞきに来ていた鹿に荒らされないようにテーブルの上を片付けて、なんと7時 前に就寝。

■5月3日(日) 薄曇り時々晴れ 鷹ノ巣避難小屋6:30―七ツ石山8:15―奥多摩小屋9:10―雲取避難小屋9:55〜10:20 ―雲取山頂10:30―芋ノ木ドッケ12:10―白岩小屋12:45―お清平13:45―三峰口15:00  5時起床。水場まで200m下って、顔を洗う。きれいな水場だ。背後の苔むした岩か らも水がしたたっている。そこに尚やんも、足慣らしにとやってきた。朝の食当は善さん である。昨日の残りの豚汁も使っておじやを食べ、さて今日はどうするということになっ たが、尚やんはやはり足の調子が悪く直接降りるというので、ここで3人と別れることに なる。

 6時半テント場出発。残り3人は雲取を目指す。鷹ノ巣避難小屋から七ツ石までの道は 思ったよりも平坦で歩きやすい道で、どんどん距離を稼ぐ。これなら尚やんも来られたの にね、等と話しながら歩く。  七ツ石の手前はヤマツツジの群落らしいが、まだつぼみも堅く、花の気はない。新緑の 芽吹きも、この辺りではまだ無い。七ツ石山頂8時15分着。ここまでは、快適な朝の散 歩といったところであったろうか。  七ツ石山(Z)  ヘリポートを過ぎ奥多摩小屋に近づくと、通路の脇にテントがたくさん張ってある。水 場はかなり下にあるらしいが、ここがテント場であった。ふるぼけた小屋は昔、梓に入る 前に鴨沢から登って泊まったことがあるはずだが、まったく記憶にある風景と違う。  トイレ休憩していると、上から高校生の集団(学芸大付属の山岳部とか)が下りてきた。 この山域はもちろんジジババがおおいのだが、けっこう若い連中も入ってきている。

 雲取山頂手前の急登をしのぐと、きれいなログハウス風の避難小屋が見えてきた。今日 は富士山から南アルプスまで展望がよい。ここで、一休みしていく。  山頂は小屋の前を通りすぎてすぐだ。山頂では写真を撮り、案内塔を見ながら周囲の山 の名前を確認。雲取山荘(りっぱ)まで下って、三峰神社からのバスの時間を教えてもら う。ここから、少なくとも4時間はみなければいけない。長い。


 雲取避難小屋前で(Z)

 ここは展望が良く富士山もよく見えて(Z)

 白岩山までのルートは芋ノ木ドッケをまいたルートを行くはずだったのに、知らぬ間に 芋ノ木ドッケに回されていた。どう考えても左に行く道はなかったので不思議だ。最近、 道を付け替えたのか。それとも地図のデータが古いのか。  やがて、善さんがぜひ泊まってみたい小屋と思いこんでいたあこがれの小屋、白岩小屋 についたが、その小屋はふるぼけた小屋で小屋主もかなりの年配。たずねると昭和25年 建築のままだという。善さんが思いこんでいたのはどうやら別の小屋のようだが、それが どこだかわからないまま小屋をあとにする。

 あとはひたすら下り。いまかいまかと、ようようの思いでお清平につく。そうとう、膝、 腿にきている。足の裏も痛い。単独の男性が座っていたベンチで休んでいると、大血川・ 太陽寺方面の案内板のある方向から中年の男性が1人よろよろと登ってきた。われわれに、 ケータイ持ってる人はいませんかと聞く。単独で、太陽寺の方向へ歩いていたが足場の悪 いところで沢に滑落し、4時間藪こぎをしてようやく上がって来たという。左手を怪我し たので、その手当をしたいのだが……といわれても、こちらもどうしようもない。大森さ んが、この先20分くらいのところに茶屋があるので、ひとまずそこまで行きなさいとア ドバイス。そのおじさんは休みもせず、よろよろとまた歩き出した。  お清平のベンチ(Z)  われわれも、3時45分のバスに間に合うべく出発。その男性を追い越し、茶屋も通り 過ぎてしばらく歩いていると、ヘリの音が近づいて後方でホバリングしている様子の音が 聞こえる。どうやらヘリを呼んだようだ。たしかにへばって、血もだしていたけど、骨折 して歩けないわけでなし、これでヘリを呼ぶというのもオーバーな感じだ。茶屋で手当て してもらい、動けないほどへばっていたなら泊めてもらうとかできないものか。それとも、 茶屋がめんどくさくてヘリを呼んだか……わからないけど??

 雲取山を越してから、白い花が少しあったが、これは帰ってきて調べたらバイカオウレ ンであった。私のカメラは初日の鷹ノ巣山を最後にレンズがひっこまなくなって、2日目 は使えなかったので、今回は花の写真はひとつもない。もっとも、地べたの花を撮るほど の余裕もなかったのだけれど。  奥宮の鳥居をすぎ、更に20分くらい歩くと三峰神社の鳥居が見えてきた。あたりは新 緑とシャクナゲ、つつじと、春爛漫である。早くつければ神社のお風呂に入っていく予定 だったが、思いのほか時間がかかったためお風呂は断念。バス停に行くとすでに人が並ん でいるので、荷物を置いて場所取りをする。

 これも臨時がでて3時45分発のバスは少し早めに出発したようだ。西武秩父駅につい て特急を確認すると、8時過ぎまで満席なのでローカルで帰ることにして、とりあえず駅 前の夢庵で、お疲れの乾杯をする。  きょうの行程約9時間、20キロ超であった。足が痛い。

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