坊がつる周遊(大分、九重(くじゅう)山)

                 亀村 通 '06/07/06

                           Photo by Tohru Kamemura



 坊がつるから三俣山
2006年7月3日(月)

7月はじめの日曜は、福岡で姪っ子の結婚式に招待された。それで、少し早いが夏休みということで、 ついでに2日ほど会社を休み九州の山をちょっとのぞいてみることにした。

7月3日6時30分、前日から借りてあったレンタカーで福岡市内にある妻の実家を二人で出発。福岡IC から九州自動車道を南下し、鳥栖のジャンクションで大分自動車道に乗り換えて東へ、湯布院のひと つ手前の九重(ここのえ)インターで降りてさらに南下、登山口である長者原(ちょうじゃばる)ビ ジターセンターの駐車場には2時間後の8時30分に到着した。梅雨の最中であり、雲行きはあまりよろ しくない。標高1000mのこの一帯は飯田(はんだ)高原というが、ここから望むことが出来る1700m 級の山々の頂は雲におおわれている。これでは上に登っても何にも見えなくて面白くないことはあき らかだが、今日は簡単な峠越えで1200mの高層湿原に行こう、という目論見だからとりあえず歩き始 めることにする。ビジターセンターが月曜定休で閉館しているのでここで時間をつぶせないことも、 躊躇する背中を押すきっかけとなった。


 長者原ビジターセンター

 長者原から出発

歩き始めると程なく、霧雨となった。先が案じられるが「これならやめよう」というほどの降りでは ない、しかも広葉樹の樹林帯に入ると、おおわれた葉で雨が下まで落ちてこないから雨具も傘も不要 だ。歩き続ける。結果的にこのあとほとんど雨に降られることはなかったので、ここで断念しなくて 本当によかった。


 樹林帯

 土石流のあと

 雨が池から長者原1

 雨が池から長者原2

途中何回か最近発生したような土石流の跡を横切りながら約1時間の登りで雨が池越に到着。峠とはい え広い草原で気持ちのよいところだ。雨もやんだ。降り始めると程なく坊がつるを遠望することがで きる。カッコウやホトトギス、ウグイスや僕の知らない鳥たちの鳴き声が爽やかで心地よく耳に入る。 ところがそのうち樹林帯を降っていくと、カナカナカナと鳴くヒグラシやカエルらしい鳴き声でにわ かに騒々しくなった。アブラゼミやクマゼミのように暑さを増長するようなものでないだけ救われる。


 坊がつる

 ここで昼食

長者原から約2時間で坊がつる到着。坊がつる賛歌に歌われた九重山のベースキャンプだ。夏にはカラ フルなテント村ができるという。周囲をを山々に囲まれた1〜2キロ四方の湿原で、中央を筑紫川の 源流となる小川が流れている。こういう水流のある平地を「つる」と呼ぶそうで、その昔、今は温泉 小屋を営む法華院の僧坊が立ち並んでいたことから坊がつるといったそうだ。30年ほど前までは牛が 放牧されていたという。

ここは本当に別天地だ。人は誰もいない。キャンプ場の屋根のある炊事場で、時折降る霧雨を避けて ビールで乾杯。途中の店で買ったパンとソーセージで簡単な昼食とする。取り囲む山々はいまだ雲に 覆われているが雨は上がり薄日もさす。ゆっくりと1時間を過ごした。


 法華院温泉

 法華院温泉と坊がつる

 北千里浜1

 北千里浜2

帰りは別コースをとることにする。坊がつる南端の法華院温泉からすがもり越で長者原に戻る、丁度 三俣山をぐるりと一周する格好だ。すがもり越の手前の北千里浜は不思議な場所だ。氷河の後のよう な地形で草木も生えず奇怪な岩と水の流れた痕の川床が蛇行している。恐らくは硫黄の為であろうが これまでの風景とはうって変わって、チベットのカイラス山あたりにでも迷い込んだような気分だ。 2mおき位に黄色いペンキでしるされた道標だらけの岩場を降って、林道に出る。硫黄の採取場に行 くものらしい。

1時間半の林道歩きで長者原に戻った。午後2時。復路は林道歩きに時間がとられて2 時間半かかったが、坊がつるでの1時間の休みを除けば4時間半の行程であった。このあと、周辺を 少しドライブして帰途につく。翌日はバケツをひっくり返したような大雨だったから、わずかな梅雨 の合間を使ったラッキーなハイキングであった。

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