和尚山から安達太良山

             亀村 通 '04/05/30

                           Photo by Toru Kamemura



  みごとなレンゲツツジ

2004年5月28日金曜日

郡山近郊の磐梯熱海温泉で三菱商事と東北の食品メーカーの会合があった。「一力」と いう、皇族だか天皇だかも泊まったという高級旅館に泊まる。翌土曜日は大方がゴルフ。 ゴルフしない組は朝食とって解散。これはいい機会なので安達太良に登ることにしてザ ックを持ってきた。朝6時台の天気予報は、大陸からの前線の影響で青森や秋田は降雨 率100%。福島は、中通りと会津が30%。なんとも微妙な確率だが、外を見るとどんより としてはいるものの降ってはいない。これは行かねばなるまい。コースタイムは全行程 8時間、健脚向きとあるが、まあ何とかなるだろう。

8時過ぎ宿発。磐梯熱海温泉から車で15分ほど北上すると、ふれあい牧場という観光客 相手の施設の奥に登山口がある。銚子ケ滝入り口の大きな看板がありここから歩き始め る。銚子ガ滝は、名のとおりお銚子を逆さにしたような形で一見の価値あり、とガイド ブックにあったので、往復20分ほど寄り道をする。確かに見事な瀑布だ。高さは20m位 だが水量が多く堂々とした滝である。


 安達太良山登山口

 銚子ガ滝

登山道はよく整備されていて、道の左右2mほど下草や笹が刈られている。誰かやんご となき人でも登る予定があるのかいな、など思いながら広葉樹の樹林帯を登る。昨夜の 酒がまだ抜けておらず、寝不足気味でもあるのでなかなか調子が出ない。こんなんで全 行程大丈夫かと心配になる。雑木林は鳥とセミの鳴き声でにぎやかだ。セミはこの時期 にヒグラシがいるのだろうか、夏の終わりのような「カナカナカナカナ」というさびし げな音色である。それともハルゼミか何かが同じような鳴き方をするのであろうか。登 るにつれて、高い木が少なくなりいつの間にか低木帯になる。よく見るとサラサドウダ ンが結構多い。花はまだだがもうしばらくするとこの登山道は、何時だったか船形山で 見たようなサラサドウダンの見事な回廊になるのだろう。 2度目の休憩をとるころから斜面も緩やかになり展望もよくなる。時折薄日が差したり して、よおし、いい調子になってきたぞ。登りがなくなって、さて頂上はどこかなと思 いながら進んでいるうちに道は下り始める。あれあれ和尚山の頂上を知らぬうちに過ぎ てしまったのかな(後で調べたら頂上はコースからはずれていた)。正面にはこれから 向かう安達太良山の乳首が望まれる。尾根伝いに一度下ってからまた登り返すわけだが、 降りも登りもそれほど急ではなく快適な道だ。この辺りはハクサンシャクナゲが多い。 残念ながらまだ少し時期が早いようで、濃いピンクのつぼみが今にも咲きそうながらひ とつも花を開いていない。風が強くなってきた。


 シャクナゲの蕾

 和尚山付近から安達太良山を遠望

安達太良の山頂付近は森林限界を越えているのか、岩だらけのガレ場で、何組かのパー ティーがいるのが登りながらも分かる。12時過ぎ、乳首の根もとの山頂の道標に着いた 途端に、猛烈な風と雨に襲われる。雨は霧雨が強風で横から吹きつけるという感じ、あ っという間に全身が濡れてきたので、あわてて雨具を引っ張り出して着る。 頂上でのビールを楽しみにしていたのだが、これではビールどころか食事も取れる状態 ではない。めがねに水滴がついて地図も確認できない。岩に赤と白のペンキで印された サインを頼りに牛の背という尾根道を進む。牛の背を過ぎた分岐で鉄山への主路からル ートを左にとり、船明神山に向かう。ルートの右手(北側)はザックリとえぐりとられた ような崖で、直下は沼ノ平という噴火口跡だ。硫黄のにおいが強くなってきた。相変わ らずの強風、雨はさほどではなくなってきたが、ガスってきた。船明神山からのくだり は、土と岩だけのガレ場なのでペンキのサインを見逃すと大変だ。さらに慎重に時々め がねを拭き拭き、兎に角風のよけられる樹林帯までと思いながら降る。15分ほど降ると やっと笹薮と低木帯となり、さらにいくとシラビソの樹林帯となった。ここなら風も雨 も大丈夫、やっと一息つく。上空はごうごうと風の音がすごい。倒木に腰を下ろしビー ルとおにぎりで昼食、1時を過ぎていた。


 山頂の道標

 安達太良山頂直下にて

 船明神へ向かう途中沼の平を見下ろす

 樹林帯の下り

さて、あとは降るだけだ。まだ雨具をつけたまま口笛など吹きながら、笹道の樹林帯を 降る。母成峠との分岐で雨具をしまい、Tシャツ一枚になる。ここまで降りればもう雨 の心配はない。MDウォークマンを持ってきていたので音楽を聴きながら新緑の樹林帯を 快適に降る(キンキキッズ→×、マイク・オールドフィールド→◎)。小一時間も降る と樹林帯が開け見事なレンゲツツジの花園があらわれた。ここで最後の休憩をとる。誰 もいない。贅沢な景色を眺めながらちくわを2本食べる。再び歩き始めるとほどなく林 道にでて、牧場のゲートを抜けると牛たちがのどかに出迎えてくれた。

林道を登山口まで行き、3時過ぎ行程終了。7時間、コースタイムより1時間短かった。 帰りは磐梯熱海温泉にある、ユラックスという郡山市営のものすごく立派なヘルスセン ターのような風呂で汗を流し(400円)、仙台に戻った。山頂のハイライト部分が風雨とガ スで楽しめなかったものの、なかなか面白い山行だった。 8:20登山口発―8:45銚子ガ滝―10:50和尚山―12:10安達太良山頂―12:30船明 神山への分岐―13:10昼食13:30発―14:10母成峠への分岐―15:20登山口着

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