2004年5月28日金曜日郡山近郊の磐梯熱海温泉で三菱商事と東北の食品メーカーの会合があった。「一力」と いう、皇族だか天皇だかも泊まったという高級旅館に泊まる。翌土曜日は大方がゴルフ。 ゴルフしない組は朝食とって解散。これはいい機会なので安達太良に登ることにしてザ ックを持ってきた。朝6時台の天気予報は、大陸からの前線の影響で青森や秋田は降雨 率100%。福島は、中通りと会津が30%。なんとも微妙な確率だが、外を見るとどんより としてはいるものの降ってはいない。これは行かねばなるまい。コースタイムは全行程 8時間、健脚向きとあるが、まあ何とかなるだろう。
8時過ぎ宿発。磐梯熱海温泉から車で15分ほど北上すると、ふれあい牧場という観光客 相手の施設の奥に登山口がある。銚子ケ滝入り口の大きな看板がありここから歩き始め る。銚子ガ滝は、名のとおりお銚子を逆さにしたような形で一見の価値あり、とガイド ブックにあったので、往復20分ほど寄り道をする。確かに見事な瀑布だ。高さは20m位 だが水量が多く堂々とした滝である。
 安達太良山登山口 |
 銚子ガ滝 |
登山道はよく整備されていて、道の左右2mほど下草や笹が刈られている。誰かやんご となき人でも登る予定があるのかいな、など思いながら広葉樹の樹林帯を登る。昨夜の 酒がまだ抜けておらず、寝不足気味でもあるのでなかなか調子が出ない。こんなんで全 行程大丈夫かと心配になる。雑木林は鳥とセミの鳴き声でにぎやかだ。セミはこの時期 にヒグラシがいるのだろうか、夏の終わりのような「カナカナカナカナ」というさびし げな音色である。それともハルゼミか何かが同じような鳴き方をするのであろうか。登 るにつれて、高い木が少なくなりいつの間にか低木帯になる。よく見るとサラサドウダ ンが結構多い。花はまだだがもうしばらくするとこの登山道は、何時だったか船形山で 見たようなサラサドウダンの見事な回廊になるのだろう。 2度目の休憩をとるころから斜面も緩やかになり展望もよくなる。時折薄日が差したり して、よおし、いい調子になってきたぞ。登りがなくなって、さて頂上はどこかなと思 いながら進んでいるうちに道は下り始める。あれあれ和尚山の頂上を知らぬうちに過ぎ てしまったのかな(後で調べたら頂上はコースからはずれていた)。正面にはこれから 向かう安達太良山の乳首が望まれる。尾根伝いに一度下ってからまた登り返すわけだが、 降りも登りもそれほど急ではなく快適な道だ。この辺りはハクサンシャクナゲが多い。 残念ながらまだ少し時期が早いようで、濃いピンクのつぼみが今にも咲きそうながらひ とつも花を開いていない。風が強くなってきた。
 シャクナゲの蕾 |
 和尚山付近から安達太良山を遠望 |
安達太良の山頂付近は森林限界を越えているのか、岩だらけのガレ場で、何組かのパー ティーがいるのが登りながらも分かる。12時過ぎ、乳首の根もとの山頂の道標に着いた 途端に、猛烈な風と雨に襲われる。雨は霧雨が強風で横から吹きつけるという感じ、あ っという間に全身が濡れてきたので、あわてて雨具を引っ張り出して着る。 頂上でのビールを楽しみにしていたのだが、これではビールどころか食事も取れる状態 ではない。めがねに水滴がついて地図も確認できない。岩に赤と白のペンキで印された サインを頼りに牛の背という尾根道を進む。牛の背を過ぎた分岐で鉄山への主路からル ートを左にとり、船明神山に向かう。ルートの右手(北側)はザックリとえぐりとられた ような崖で、直下は沼ノ平という噴火口跡だ。硫黄のにおいが強くなってきた。相変わ らずの強風、雨はさほどではなくなってきたが、ガスってきた。船明神山からのくだり は、土と岩だけのガレ場なのでペンキのサインを見逃すと大変だ。さらに慎重に時々め がねを拭き拭き、兎に角風のよけられる樹林帯までと思いながら降る。15分ほど降ると やっと笹薮と低木帯となり、さらにいくとシラビソの樹林帯となった。ここなら風も雨 も大丈夫、やっと一息つく。上空はごうごうと風の音がすごい。倒木に腰を下ろしビー ルとおにぎりで昼食、1時を過ぎていた。
 山頂の道標 |
 安達太良山頂直下にて |
 船明神へ向かう途中沼の平を見下ろす |
 樹林帯の下り |
さて、あとは降るだけだ。まだ雨具をつけたまま口笛など吹きながら、笹道の樹林帯を 降る。母成峠との分岐で雨具をしまい、Tシャツ一枚になる。ここまで降りればもう雨 の心配はない。MDウォークマンを持ってきていたので音楽を聴きながら新緑の樹林帯を 快適に降る(キンキキッズ→×、マイク・オールドフィールド→◎)。小一時間も降る と樹林帯が開け見事なレンゲツツジの花園があらわれた。ここで最後の休憩をとる。誰 もいない。贅沢な景色を眺めながらちくわを2本食べる。再び歩き始めるとほどなく林 道にでて、牧場のゲートを抜けると牛たちがのどかに出迎えてくれた。
林道を登山口まで行き、3時過ぎ行程終了。7時間、コースタイムより1時間短かった。 帰りは磐梯熱海温泉にある、ユラックスという郡山市営のものすごく立派なヘルスセン ターのような風呂で汗を流し(400円)、仙台に戻った。山頂のハイライト部分が風雨とガ スで楽しめなかったものの、なかなか面白い山行だった。 8:20登山口発―8:45銚子ガ滝―10:50和尚山―12:10安達太良山頂―12:30船明 神山への分岐―13:10昼食13:30発―14:10母成峠への分岐―15:20登山口着
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