後藤文明 2013年1月15日

                            Photo by F.Gotoh
                            Sketch by Y.Tomiyama



 海野宿白鳥神社の大欅
2012年12月23日(日)散策組・冨山、田中、後藤

 昨夜は大いに談論風発して、更に「第九」のCDコンサートまで開催された。 翌23日は快晴。登山隊は上田市街の北西に位置する虚空蔵山へ向かった。 登山組に遅れることわずか、散策組冨山、後藤は田中車の世話になって出立、先ずは東御の海野宿を 目指す。車は望月宿を抜けてすっかり黄葉を落とした雑木林や白茶の田圃を縫うように166号道路を 北上した。海野宿は4年前の2008年8月に川喜多農場農援隊として来佐久の折に訪れたことがあった。 そのときは海野氏の菩提寺「曹洞宗・興善寺」も訪れたが、海野宿からは北方高台にに位置して、見 下ろす町並みの向うに千曲川が流れていた。海野氏は平安中期頃よりこの地を治めていたが、信濃屈 指の名族は戦国時代甲斐の武田に攻略され「海野平の合戦」はその死命を制することとなったという。

 前回は8月下旬の晩夏のころ、興善寺の庭にではサルスベリの花が盛りであったが、今回は冬至も 過ぎて寒風が吹きすぎる師走である。産土神である白鳥神社境内の樹齢700年を超える巨木の欅たち もすっかり葉を落とし杉の葉は赤茶に焦げていた。宿場を抜ける北国街道には冷たく用水が流れ、脇 の家々はそれぞれ門戸を閉ざし人影もない。陽の光はきらきら眩しく降り注ぐが、あとは冷たい風が 寓話の旅人のコートをを剥がそうとするのみ。我が住まう都会では見られぬ光景は国民の祝日を祝う 日の丸の掲揚であった。

 全国に13あるという「三重の塔」その二つが信濃にあり、ひとつがこれから向かう青木村の大法寺 (天台宗)のもので、もひとつは塩田平奥の別所温泉安楽寺(曹洞宗)のものである。 車は18号線を上田方面へ、途中左手に信濃国分寺跡を見ながら、更に上田市内を左折して147号線を辿 って行く。右手には上田市街の向こうに連なる山々があり「虚空蔵山」は多分あれだろうと指呼した がそれは太郎山のようである。 案内板があり幹線をそれると山の裾を少し登った所に寺の屋根が臨めた。「多分あれだろう」と進む がそれは大宝寺本堂で、目的の三重の塔は少し離れてあった。街道から車1台の細い道を入ると真正 面に石段があって正面に観音堂があり、西北の小高い丘に三間四方の檜皮葺「三重塔」が優雅な姿を みせていた。塔の姿があまりにも美しいので、思わずふり返るほどであるというので「見返りの塔」 とも言う。

 案内の受け売りだが、この塔は、正慶二年(1333)鎌倉時代から南北朝時代に造営され、第二層の木 組みの裏側に書かれた墨書から、この塔は大阪の天王寺と関係の深い技術者たちの手によって造られ たと考えられているという。塔は初重が特に大きく、これがこの塔の最も大きな特色で二重、三重で 組物を三手先という一番正規な組み方としている。初重だけは、少し簡単な二手先にしたので、その 分だけ平面が大きくなっていて、形に変化がつきおちついた感じになっているという。高さは礎石上 端から宝珠上端まで18.56m。たしかに、素朴で楚々とした風情がある。格調ということでは安楽寺の それに及ばないであろう・・

 天気は良し車内は暖かいし話しは合うしあとはうまいものが喰いたい、というので小諸のうなぎや 「藤舟」にしようということになる。だが未だ昼には早すぎるので時間つぶしに上田城跡をぶらぶら ・・・  18号線を小諸に向かい、ナビに導かれて小諸市内に入り北国街道の坂を登っていったら左手にそば 屋「丁字庵」があった、すぐの本町入口四つ角の脇が「藤舟」であった。昨今のうなぎ高騰のあおり を食ってしばらく食してないと言うことでわくわくする。 が、実は小生先月初め珍しく夫婦と娘ふたりとで「三島の桜屋」へうなぎを食いにいった。確かみん なで毛無山の帰りに寄った筈だが、1階の店の佇まいは全く変わらず2階が増築されて大きくなって いた。うな重(うなぎ2枚肝吸い付き)3,350円であった。  さて、「藤舟」はうな重上2,100円、まあまあ許せるお味であることは皆さんご承知の通り。

 あとは農場主川喜多さんお勧めの「あぐりの湯こもろ」へ向かう、「あぐり」はagriculture、すな はちJAが小諸市から運営を委託された日帰り温泉であるが、千曲川の段丘にある人気の温泉施設で 湯の丸高原や黒斑山・浅間山を一望する絶景が売り物である。湯槽からその眺めが東に位置するので 午後は山々が順光を浴びて実に素晴らしい。 好い湯につかり大満足の一行は、中山道沿いの望月の「お酒の安売り帝王」でビールと余り廉価とは 言えぬ酒を買い一路帰途についたのであった。

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