甲斐駒ヶ岳尾白川本谷 1980年7月4日(金)〜6日(土)

追記 2011/11/23

兎として最後の山行。最近の掲示にも、後藤さんの「Tが飲んだくれて集中がオジャン、これで私が兎脱会の覚悟をした」のコメントがあるとおり、この山行は兎の甲斐駒ヶ岳集中登山という名目で実施した。しかし、われわれ沢登山隊が合流地点である縦走路の六合石室へ到達しても、Tリーダー率いる縦走隊は姿を見せず、大分待機したが結局集中とはならなかった。原因は、T氏が夜行の列車中で、当時はまだ高価であった差し入れのスコッチを飲み過ぎてダウンし縦走が中止になっていたためだ。

1980年7月4日(金)〜6日(土)

参加 井上、後藤、冨山、鈴木、橋元

7/5(土)
林道終点 6:30
鞍掛沢出合 7:50
噴水の滝 8:30
鴉天狗の岩下 9:15
二俣 9:30ー9:55
北坊主沢 10:40
岩舎下 11:10(左手に白い巨岩)
滑滝沢 12:00ー12:40
奥の滑滝沢上流 14:00ー14:20
30m滝落口 15:00(幕営)
7/6(日)
出発 7:00
縦走路 8:15
六合石室 8:30ー9:40
甲斐駒山頂 11:15ー11:30
七合小屋 12:55ー13:15
白稜岩舎 14:55
二俣 15:55
噴水の滝 16:55
林道終点下の河原 17:50

写真は善さん、後藤さん、ぼくが保存してあったもの。いまとなってはキャプションはつけられないのでほぼ写真の名前順に配置してある。

以下は善さんの保存写真。

 

以下は後藤さんの保存写真。

懐かしやカブトムシ この左側の崖を降りて沢筋へ

記録

このときは、ほぼ時系列に思いついたことを書いたとみられる。もっぱらルートを記録することに終始している。

  • 鞍掛沢出合までは流れからさほど離れずに渡渉を繰り返すうちに達する。ただし、右岸を高巻く踏み跡もある。
  • 出合のすぐ上流で、円形のきれいな滝壺をもつ滝が3つほど続く。その最初のものが一番大きい。ここは左側のスラブを登ってもよいし、さらに上を高巻く(鞍掛沢出合下流より続く大きな高巻の途中に出る)こともできる。(これがヒョウタン淵か)
     いずれにしても、ここからしばらくは右岸を巻く。この巻きの最後は急な朽ちたハシゴを下るか、それよりやや下手で河原へ出て、左岸に徒渉してから1つ滝を越す。
  • 次の高巻はもっとも長く高く巻くもので、その開始は、4〜5mも水深がありそうな深い淵を持つ滝である。この滝の右手をやや下流の戻るようにしてジグザグに登る。高巻の途中に下降用のフィックスがある。
     高巻の終わりは噴水の滝のすぐ下手の河原である。
  • 噴水の滝の下手の河原はそうとう広く、右手に大きくハングした岩壁がある。
     水中から噴出する流れを右手に見て、ここからしばらく左(右岸)を高巻く。
  • 北坊主の滝(?)を過ぎてからすぐに、右手の山腹に白い巨岩が見えてくる。この右手に沢がありい、そこに岩舎がある。
  • 滑滝沢は非常に幅の広いスラブで、流れはごくわずかであった。この上流に沢をふさいで大きな岩がある。これは右岸の大分下手から巻くか、岩の右縁とフェースの間をフィックス・ザイルを利用して越える。なお、そのフェースにはクラックが走っていて、そこもルートに取れる。
  • この岩の上流にはさらに巨大な岩が流れをふさいでいる。これは2〜3階建てのビルほどもあるもので、圧倒される。この岩は、下をくぐる。真下の濡れたルンゼを登ってもよいし、その右手の階段状のクラックを登ってもよい。クラックは5mほどで終わるが、安定した確保点に達するには、岩の下を抜けるまでザイルを伸ばす必要がある。
2〜3階建てのビルほどもある岩 OJ保存
  • この岩を過ぎると雪渓が現れ、正面に30mの滝が見えてくる。滝の両側からも2本のガレた沢が入り込んでいる。ルートは、滝の右側にあるぬるぬるの凹角を登るか、手前の右側ガレ沢から高巻いてもよい。凹角にはフィックスがあるが、ない場合には途中で、1本ピンを取りたいところである。残置もあるが水苔に埋もれて使えるかどうかわからない。
  • 30mの滝のすぐ上は広いスラブになっていて、テント1張、整地をすればさらにツェルト1張は設営できそうなザラ地がある。ここから沢は大きく右に曲がる。右側を上まで詰めると、先のガレ沢から高巻いてくる踏み跡が合流する。
  • 30mの滝から数分のところで、左岸から沢が1本入る。この出合のガラガラの河原(といえないほど狭い)を整地してテントを張る。はみ出した2人は各自テントとフライを被って寝た。

この幕営地のことはよく憶えている。両側から岩が迫って狭く、地面も岩だらけで、整地が大変だった。善さんがいろいな大きさの岩をうまく組合せてたちまち平らなスペースを作ってしまった技には感嘆したものである。

このとき外で寝た2人の1人はぼくと善さんだったか? 夜中に目が覚めて、多分、天気予報でも聞くつもりだったのだろう、ラジオを着けた。そのとき、偶然ながれてきたのがベートーベンのスプリングソナタだった。鮮明な記憶である。

  • 30mの滝から上は、大きな岩が乱雑に積み重なったガレ沢でとくに面白いところはない。幕営地から30分ほどで二俣になるが、どちらを詰めても最後は崩壊地に行く手を阻まれる。ここは登りやすそうな右側をとる。最後の崩壊地は直登もできそうだったが、非常に不安定な岩の堆積である。これは左側の草付きに逃げて、20分ほどで稜線へ出た。
  • 五合からの下りは、途中、ツガの大木が広い範囲に渡って倒れている場所があってルートがわかりにくい。原則、左手の沢から離れずにルートが付いている。
  • 白稜の岩屋からはなるべく早く沢に出たほうが楽である。千丈の滝の200mほど下流で左岸から入る広く大きなガレ沢(上部は岩壁)をすごして、すぐに左岸の高巻に入ると、そのまま二俣に飛び出す。
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